2020年 10月 の投稿一覧

数学者の時間⑧ 3−1 ふりかえり前半 授業振り返り

久々にやってしまった長時間授業

久しぶりに、やっちまいました。1コマ40分授業なのに、「共有の時間」を止められず1時間授業。それでも問題への決着つかず。次回の授業に持ち越しです。うまくいかないと思える授業ほど、ふりかえる価値が多いものですね。ぴえん。

一方長くなるのはどうしてかというと「身につけることが明確になっている」その分、良問もそれに関連してじっくりと考える問題となり、結果、1時間の密度の濃い時間となってしまいます。たまには、探究算数のように、子どもたちが隠れてさぼれる自由度の高い授業が恋しいかも。

パン焼き問題はミニレッスン「ふりかえり」にふさわしい問題だったのか?

学習者が自分の解法の振り返りをするには、一度、確実に解き終わらないとできません。そのためにも、この問題はすぐに解ける問題にしないとだめということ。かつ、多様な方法があること。

そもそも2枚のパンの片面を2分でしか焼けない昭和のトースターって、子どもの生活に身近ではなく、2年生にとっては実感が持ちにくいもの。どういう仕組みなのか、もっと丁寧に見せてあげるとよかったのかもしれません。

ふりかえりのスキル②「とけたきっかけは?」は、子どもたちはどこからが、「よし!いける」といったきっかけなのかが意識されていないことが分かりました。きっと、【使えそうなこと】の「ものをつかう作戦」ですでに解けそうと思っている様子。だからこそ、とけたきっかけを振り返るためにも、数学者ノートに思考をメモすることの価値が高まりますね。つながっているなー。

ふりかえり①〜③ミニレッスン

今回のミニレッスンは、家に帰っても「お札問題」をやっていた男の子の紹介から。家に帰ってまでふりかえって考え続けること、まるで数学者みたい!とその大切さを確認し、今回のミニレッスン「ふりかえり」の導入となりました。

ふりかえりをすることで、問題があっている間違っているだけではなく、深く問題を理解することができること。そのためにも、次の3つの技術は大切です。

  1. 数値ややり方の確認すること(結果のふりかえり)
  2. とけたきっかけをふりかえること(プロセスのふりかえり)
  3. 他のやり方がないかたしかめること(よりよい解法へのふりかえり)

今回はこの3つの技を使って、ふりかえりをしてねと伝え、さっそく「パン焼き問題」の確認を。

子どもたちからのアイディアには3つでてきました。

  • あたまで考える作戦
  • 考えてためす作戦
  • かわりのもの作戦。

ここで「おはじき」は使えるかな?と僕から提案。ものを使う作戦はとてもいい。思考が活性化されます。ここでしっかりと押さえておきたい作戦の一つ。そして、もので置き換えるって、その子の「抽象度」する力が試されたりします。この抽象性の獲得は算数数学ならではのものですね。

ものをつかう作戦でおはじきは適切だったのか?

このおはじきがくせ者。普段使いしていないので、今回おはつのアイテムでした。おはじきを並び替えたい!おはじきの磁石で遊びたい!子どもたちが続出。どうしようかな?と考えながら教室をぐるぐるして、今度改めておはじきを使って遊ぶ時間をとることを確認してあげました。それでも、まだ夢中になってやっている子は止められない何かがあると思い、そっとしておきました笑。

そもそもおはじきって、使い方によってはとても便利だけど、使い慣れていないとなかなか不便。おはじきは裏返しても同じ色で今回のパン焼き問題では、扱いにくいよね。今回はなにが適していたんだろう? 表が黃色で裏が白の数ブロックだとよかったな。

子どもたちの様子を見る限りでは、今回は数学者ノートへのメモが難しそうでした。僕はてっきり、パンをイラストで表す図作戦のが出るかと思ったけど、なかなかそういう発想はなくて、式で表そうとして、さらにこんがらがってしまっていました。今回を機に、モノを使う作戦を自分の思考ツールとして練習していけるといいです。

誰と学ぶのか?

今日は、先週と異なり問題に没入するまで、少し時間がかかりました。もっとていねいに「わかっていること」や「もとめること」を具体的にトースターをみたててて、やってみせて確認してあげると、すぐに動けたのかもしれません。

これまでの3時間、一人でやっていた子が「移動してもいいの?」とききに来ていました。チャレンジバイチョイス。きっとこれまでの一人で考える時間から、少し変えてみようと思ったのかもしれません。その点では、気軽に「いっしょにやろー」と声を出せる子はいいなぁと思います。一方、友だちと一緒に勉強をやる・考えることのよさはどうなのか。わいわい遊びに夢中にならず「集中して取り組める環境作り」の練習が必要ですね。クラスの様子をみていると、一緒に問題を解いているメンバーもゆるやかに入れ替わっているのが、オモシロいなと思います。そして変わらない女子3人組も。

途中、答えの確認をしに他の子のノートを見に行っている子。こういうのはズルくていい。友だち関係をするりと越えていってくれるよい見本となります。

個別カンファランスへ少しずつ

これまで、全体の問題への取り組み具合や一人ひとりの学習の様子に目を向けていたけれど、今回から、個別カンファランスに入る意識を持つようにしました。これまで起こっていたような対話が単発にならないように気をつけて入ってみました。すると見えてくる景色が変わりますね。特に「式の意味」は直接子どもに聞いてみないと分からないことが多いです。これからも、ていねいに聞くようにしていこうと思います。

1枚ならその半分の1分間で焼ける?

ワークタイムから共有の時間へ、クラス全体で切り替えの時間、空気感が変わるまでじっくりと待てるといいです。ものをいじっていると集中して、聴き取ることができないので、落ち着くまで待つ時間はやっぱり大切。前にでてきて話している子の説明を聞いていない子が案外多い。でもそれって、先生が発表している子に夢中になってしまっているから、そうなってしまっていることも。自分も気をつけようっと。

ある子が前に出てきて「式が書ける」と

2+2=4

2−1=1  1+1=6 答え6分

という式を説明してくれました。

「なんで、1がでるの?」これにが質問がでました。

「2枚の(パンを)両方とも焼くのは4分でしょ」と、2枚で2分なんだから、1枚しかはいっていないトースターはその半分で1分でパンを焼けることとなるそうです。なるほどー。時代だなぁ。こういった昭和のトースター使わないと分からないのか。1枚約のも2枚焼くのも2分なのよ。問題の条件がかわっちゃう。。。

昭和のトースターの残念な所を説明しつつ、「分かっていること」に戻って説明し直した方がいいとなと逡巡していました。それでも、その瞬間、授業は流れて行ってしまう。こういうことってあるあるだなぁ。「2まいのパンのかためん、それぞれ2分で焼けるって書いてあるんだから」って僕に助け船を出してくれた子がいました。改めて【分かっていること】にこのトースター機能の再確認。ここは子どものつまずき予想ができなかったところ。少し考えれば予想がついたことだったのに、鈍ってるかも。

数学的説明には失敗OK

今回はこれまで経験したことのなかった図を用いての説明が難しい問題。そのため、しんどそう。メモしづらく、おはじきも使いこなしづらい。改めて「今日の作戦って?」と「かわりのもの作戦」につなげて考え直そうと修正を試みました。すると、子どもから「本をつかう」のアイディアがでました。さっそく同じ絵本を3冊用意して、いざ!問題の説明へ。と思ったのですが、前に出てきて説明する子が、なんとそのうち1冊をトースターにしようとし、さらに混乱を招きかねない事態が!

こういった子どもの説明が洗練されていない時間は特に大切です。算数数学は正解した道のりをスッキリと説明しようとするから、みんな正解した認められないと算数嫌いになっていくからです。こういう試行錯誤を励まし、支えてあげられる先生にならないといけません! けれどもこのとき僕はすでに共有の時間予定の5分間を大幅に過ぎて焦る気持ちとのせめぎ合いでした。

「この絵本はトースターにもパンにもなるそうです。どお?」と投げかけ直すと、「えー!(わかりにくい)」と、却下となりました。このとき、教師の僕がいいわるいを即座に判断せずに、一度、子どもたちに投げかけてみることができて本当によかった。これは簡単なようで、難しい。時間に追われているときはなおさらだし、教師が行きたい授業の方向が明確にあるとそういう寄り道のような時間のかかる対話や子どもの気づきで作り上げていくといった授業づくりがしづらい。ギリギリセーフだったかな。

算数の説明って、自信があってもなくても(今回はあったみたいだけれど、まちがっていただけのこと)考え中のアイディアをもってきて、みんなで考え合う学習コミュニティが大切と、再確認。

この子は結局、最後までこだわりがあり「トースターって問題文にも書いてあるから」と、絵本トースターを捨象できずにいました。他の子達からはいらないじゃんって声があったので改めてきいてみても「いると思う」っていうから、使うことに付き合ってみました。

8分間で納得してしまっている

実際に、前にでてきて絵本をパンと見立てて、やってもらいました。

2+2=4  2+2=4 4+4=8

8分で焼けるという子が案外多くいました。2分を焼くために、4回くりかえして、8分間でパンを焼くやり方。

共有の時間が始まってから、15分がいっきに過ぎてしまい、このときすでに他のクラスはランドセル背負ってうちのクラスの前に集まっていました。あちゃー。クラスのわんぱく坊主が「もう放課後(遊び)の時間じゃね?」とあおってきます。

1枚を抜いて入れ替えてパンを焼くことでできる6分の解答がでてきません。どうしよう。答え8で納得してしまっている子が多くいました。なぜだろう? こういうときこそ、「ふりかえり」の価値が増すとき!次回は、同じ問題の続きを遣ろうと思います。はてはて、どうやったら、1枚を取り除いて焼くと便利だと気付かせることができるのだろうか。「お客さんにあつあつのパンを食べてもらうにはどうしたらいい?」と投げかけるのはどうだろう?

数学者の時間⑦ ミニレッスン3 ふりかえりの計画

このコマのめあて

  • ふりかえり(その問題のふりかえり「数値ややり方、きっかけ、他のやり方」)のよさを知る。解けてしまえばもう「答えを知る」圧が抜けてしまう子が多いので、もう一度、問題解決のプロセスを見つめ直し、自分の思考したプロセス、その問題がもっている数学的構造をより理解する機会を設ける。
  • 答えをふりかえることのよさを実感できる解法が多様にある問題を用意する。(追記:解法を振り返る必要があるので、すぐに解けることが必要だった)

レディネス

  • 解けてしまうともう「答えを知る」圧力が抜けてしまう子が多い。
  • 解法の「きっかけ」をふりかえる事をあまりしていない。
  • モノを使って考える経験が少ないため、「使えそうなこと」に増やしていく。

「振り返り・共有」をミニレッスンの計画の前半にいれるのなら、3−1で、① 数、やり方はあっているか?② とけたきっかけは?③ 他のやり方はないか?まで行う。そして、3−2に④ にた問題づくりができそうか?⑤ 他の問題で、このやり方が使えそうかたしかめてみよう!に進む。3−3で、「共有の時間」といった流れにしたほうがスムーズになると考えた。このミニレッスンは、今後使っていけるものなので、じっくりと時間をかけたいところ。それにふさわしい問題を用意したい。

数学者の時間⑥ ミニレッスン2−1「1コマの使い方」

ワークショップ授業の1コマの使い方を説明しました。

①ミニレッスン(先生からのミニ授業/問題の確認や計画づくりのさわりなど)

②ワークタイム(解決への活動)

③共有と振り返り取り組みの内容によって、柔軟にどれかを省いたり、重点的に扱ったりします。


今回の問題は「お札の上にコイン問題」。前回は数と計算領域から扱ったので、今回は発想を変える問題。つまり、始めに思ったやり方では通用しない問題。だからこそ、実際に体験してみる、やってみることが大切な「ハンズオン」の問題。手を使うことで、思考が活性化されるので、ものをつかうことは「マインズオン」マスになっていくんでしょうね。


今回は、問題の選択と子どもたちの実態がフィット。この半年の中で2年生の子供たちにフィットした授業づくりができるようになったなと思える授業でした。きっとこの一年間を振り返った時、もちろんもっと改善点や反省点はあるけれど、いい授業だったなぁと思える授業の一つでした。


何よりも僕も楽しかった。子どもたちが夢中になって試行錯誤しているその空気を一緒にいること。僕がワークショップ授業にこだわってきたのは、こういう時間を一緒にすごすことだったのかもしれません。先生やっていて、考えることを一緒に楽しむそのときでした。


自分の授業を振り返っていると、細かい点は毎回出てくるけれど、それをしらみ潰しにしていくといい授業にたどり着くのかというわけではなさそうです。きっと授業の押さえどころは、思考を活性化させる「挑発的な課題」だったのかもしれない。エビデンスでもそうであるように。

すぐに答えが出てしまう問題

コップの縁と底では太さが違うんですよね。そして、2年生の子どもの拳だとあんがい狭い!そんな予想が事前にふっと思いはよぎったけれど、流してしまいました。すると、「できた!」ってすぐに解決してしまうことが起こりました。このとき、無理に修正しなくてよかったです。「なるほどー」と聞いてみると、その子は納得していない様子で、もっとより良い方法の模索(より頑丈な紙の橋)に進んでいました。答えが出ると安心するんでしょうね。解きやすく、多様な解答方法があること、こういったことも良問の要素の一つなのかもしれません。


わかっていること(知っていること)の条件文を変えて問題解決をしようとする子

もちろん問題条件に戻って再確認をしました。けれども、そういった自分なりの問題から逸脱した試行錯誤は、後々解決方法に生きてくるかも知れない可能性は十分にあります。それも認めつつ、「今のわかっていること(問題条件)でクリア出来たら、次をやってみるといいよ」ぐらいが、妥当なのかもしれません。

単発の量的なやりとりは活性化をもたらすけど深まらない

自分のクセとして子どもとの対話が単発になりがちワークタイム中は、いろんな子が話しかけてきてくれます。とけたとき、悩んでいるとき、様々。一方、僕はクラス全体の様子を知りたい。個別のカンファはもっと先かと判断しているのに。こういったとき、単発になりがちなのは仕方ないのだろうか。本来なら、もっとじっくりと対話を続けて、いって子どものアイディアを深めていけるチャンスが埋もれてしまっているかもしれない。どうしたものだろう。

この授業では、ワークショップ授業の流れを知ることだったけど、何か賢くなったかというとそういう授業ではなかったかな。考えて満足したって時間でした。授業終わった後、「今日の授業はすごい面白かった。家でもやってみようかな」と、のこりの札束を持ってけって行きました。今朝、「イガせん、(100円玉より重い)500円玉のでもできたよ。千円札って紙よりも固いから遣りやすいんだね」と、なかなかマニアックな報告をしてくれました。この子は、「使えそうな作戦」を出し合ったとき「考えてやってみる作戦」を出してくれた子でした。きっと彼は今後、じっさいにいろいろと手を動かして学んでいく学習スタイルを茫洋と持っているんだろうなと感じさせてくれました。


次の展開は、ある少年が「お札1枚と100円玉5枚でも(橋が)できた!」という子どもの問題ですすめるか、それとも次のミニレッスンに進むか悩むところです。


振り返りを動画でもう一度見直してみること。そこで気付かされる事実がたくさんありますね。子どもたちが実はいろいろと面白いことをやって輝いている。案外、見落としていることがおおく、みたい物しか見えていない自分がいることに気付きました。しばらく、自分の授業とじっくりと付き合っていこうと思います。

数学者の時間⑤ ミニレッスン2の計画「1コマの使い方」

この時間に大切にしたいこと

・ワークショップ授業の1コマの使い方を知ること。

・ものを使って考えることで、様々な方法が閃くこと知ること

・問題をとくことそのものを、たのしむこと。

事前の準備

・イガ問1問(お札1枚でコップの間にコインをのせるアイディア問題)

・子どものつまづき予想例・解答例イガせん数学者ノート(解答を知ることが目的ではないため、あるとみたくなるので今回はなし。答えがないことも知らせない)

・「数学者の時間とは」プリント子どものつまずきやレディネスについて

・頭の中のアイディアだけだと、閃かない。。
・手を使ってじっさいに「やってみる」ことで、なにか「予想」がひらめく。

・ノートにメモすることになれていないため、まだコマ目に記録ができなさそう。→事前に確認をしていおく。折り紙が好きな子がいれば、お札をじゃばらおりにすることが予想されるけど、でてこなかったときは、しばらく待ってみる。紙の使い方にヒントがあること(固く箸のようにできないか?)投げかけるタイミングを考える。


・解法が多様にあることが、友達の解き方を知りたいおもしろさにつながってくる。


・昨年度4年生で実践し、コインを増やして紙を折り曲げない問題を作って、成功させた例もあるので、いろいろ広げられるとおもしろそう。

授業の大まかな流れ

  1. ミニレッスン:1時間の使い方? 問題の計画作り「ものをつかう作戦」 10分間
  2. ワークタイム:一人で/友達と 遣ってみた方法をメモしてみること。
  3. 共有・振り返り:実際にやってみせることで共有。 
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数学者の時間④ ミニレッスン1−2 数学者の時間をはじめよう


記録をどうとるのか?それが問題だ

やっぱり自分の授業を振り返るには動画が一番だと今のところは思います。ウソつけないからなぁ。カメラを首から提げておけるアイテムを見つけました。角度を決めればこれがとても便利。胸にぶら下げているだけで出川カメラの胸ばん。これいいかも。だれにどのくらいかかわって、どんな声をかけていることが分かります。角度を調整すれば、子どもたちの視線が合うので、しばらくはこれを使って、授業の振り返りをしていこうと思います。


数学者の時間のいいとこ

子どもの様子によって柔軟に授業案を変えられるところ。今日は、前回、終わらなかった3方陣問題を解く続きから。最初に「数学者の時間とは?」の再確認。さらに「数学者は?」の答えに「試し、振り返って、相談しながら、考えることを楽しむ」ことの確認。このあたりは言葉だけのため、今後、実感や体験を通して積み上げていけるといいところです。そして、前回の問題。求めること、分かっていること、使えそうなことを出し合いました。残りの時間はたっぷりと解く時間を30分間、割り当てられました。

カンファランスのアンテナにかかる子

子どもたちが問題解決しようと活動しているとき(ワークタイム)、個別に入ろうかと思ったけど、まだ全体の様子をぐるぐるまわることにしました。いつもまわるコースは決めています。黒板の前からだいたい右回り。この時間は、それぞれがいろんな場所にいって机が勝手に移動しているのですが、いつも通り右回りでぐるぐると。動画を見直してみると、5週ぐらいしているかも。


カンファランスのアンテナにかかる子こういう机間巡視しているときに、アンテナにかかる子の視点がいくつかあるなぁと思います。

・たくさんノートに軌跡を残している子。どんなことやっているのか、純粋に興味がわいてきます。多少、うるさくたってできることに夢中になっているようなら、今はそっとしてる判断をしている自分がいました。勢いが大切。


・まったく進んでいないでスタックしている子/楽しそうにはやっているけれど、進まない子。どこまで先生と一緒に考えたらいいのかな? 余計なお世話なのかな? と、毎回迷ってしまうことがありますが「どんなかんじ?」と声をかけていることが多いかな。様子によっては様子を見ていることもあります。

・すでに今回の問題が終わってしまい次に手持ち無沙汰になっている子。 次の問題へ4方陣、円方陣へ投げかけていきました。このあたりは、指示を改めてていねいにだしていけば簡単に済んでしまうこと。

・吹き出し用のキャラクターを書くことに夢中になってしまっている子。あるあるですね。こういった「やってみたかった/そこにしか目がいかなかった」失敗も含め、回り道しながらも積み重ねていくことは案外、後になってからじわじわと効いてきます。何事も最初から指示や手を打ってしまって教室内を無菌状態にしてしまわないこと。いろんなトラブルにこそ意味があるんでしょうね。

・メモしようとしていない子。これまで、自分がそういう授業してこなかったって、鏡。試行錯誤をのこして、振り返って、それを材料とするような学びのよさをこれまでの算数授業でできていなかったって反省でもあります。

とうことを度外視してみることも大切。つまり、平等に定期的に個別にカンファランスにはいることは、やっぱり必要で、つまずきに応じたりでカンファしている限りだと、そこが不平等になってしまいかねません。このあたり、しばらくまた考えていこうと思います。

自由だからこそ起こるトラブル

ワークタイム中に、急に大喜びしている少年が二人。どうもスッキリ解けたみたいで歓喜していた様子。そこに「みせて〜」と嬉しそうによってくる子。すかさず「だめだよ!」との応酬。そこでトラブル勃発。こういったやりとりは子どもたちには案外あるもの。すると、またそれぞれの持ち場に帰って、コツコツとそれぞれの課題に取り組み始めているようでした。

子どもたちに任せる時間があると、こういった一斉指導できっちりと管理された時間にはないかかわりやトラブルが必ず生まれます。でもこれを封殺してはいけないと思っています。もちろん派手にトラブルすることを前提とはしていませんが。これまで一斉指導で落ち着いていた子はこういった時間に、より自分らしさが出てきます。いい面、わるい面どちらとも。その自分らしさと相手の自分らしさは時にぶつかることがあります。こういったことを、すりあわせしながら出ないと一つの学習チームにはなっていかないかと思います。

教室はトラブルの宝庫。そして、人は変われる力があります。少しばかりのトラブルには目をつむりつつ、その場には、いつでも相談できる先生や友達がいる安心安全があることを土台に、ピンチをチャンスにそだてていけるといいです。

「共有の時間」も練習が必要

どんな解き方ができたかな? 二人の子だちに出てきてもらいました。ちょっと、机を移動しているので落ち着くのを待ちました。こういうのも実は大事な空気作りの一つ。「最初、どこからやったの?」ここでようやく子どもの口から「7からやった」と出てきました。すると聞いている子達から「同じだ!」「あ!同じだ!」と声が漏れ聞こえてきます。7の組み合わせは、7+5+3と7+2+6の2パターンしかありません。

ワークタイムでの子どもたちの様子をみていると、ヒントになる7をなかなか使おうとする子がいなようでした。2年生の発達段階に共通することかもしれないなとおもうんだけど、なかなかメタ認知して言語化することへ意識がいきにくい。この辺りは、無理に推し進めるよりは経験を積んで、「自分で発見する/自分で言葉にする」楽しさを続けていくことのほうが、価値があるなと思います。

さて、共有の時間。子どもはいとも簡単に5をマスの中央に置きました。うーん。「3もあるじゃん!」とても突っ込みたい!けれども、特に質問もでてこなく進んで行ってしまいました。子どもたちは、次は上の段と下の段、さすがにそれは、ちょっと無理があったのかもしれないな。解けるかもしれないけれど、説明が難しいのかも。実際に手を使って、動かすほうがふさわしいのかもしれません。最初なので、あまり数学的なものに没入するよりも、といた道筋をすんなり説明してもらった方がよいのかもしれません。けれども、下の段から計算した方が、「7は決まっているから」と説明してくれる子がでてきました。そこでの組み合わせがのこりの一つ。何かをやるには訳がある。これを活かせるとよかったな。分かっているところから進める作戦ね。足し算の入れ替え問題もでてくるね。工夫して計算する。最後にナナメを計算すると、他もするするとでてきてしまう。おお!中には、逆パターンもある!入れ替わっていることに気付く場面となりました。答えはひっくりかえしも含めて、2パターン。ぜひやってみてください。

「いや他にもある!」って、前に出てきて説明する子も。「だめだ〜!」とできそうでできないことを確認。間違っていたけれど、それもOK。いいじゃん、自分のやり方を伝えたいって。拍手して終わり。僕はこの一斉でみんなで共有している時間がとてもスキです。バラバラではない。なんでだろう。個々であるほうがスキなのに。きっと、あってるまちがっているを越えて、自分の意見をすんなり言える空間がスキなのかもしれない。みんなでひとつのことを考え、話し合い、練り上げていく対話っていいなぁと思うのです。

最後は、振り返り。本来なら、問題の数学的構造への振り返り、問題の取り組みや学び方への振り返りがあるけれど、さくっと終わりにしました。

Aべんりなやりかた、Bおもしろかった、Cくやしい、Dその他

「でとけなくて悔しかった。」4×4を土日でやりたい子を投げかけて終了。
次回はまた別の問題へ。

この授業の流れは、とても安定していると思います。ミニレッスン、ワークタイム、振り返り共有。このおかげで、グループワークで生まれがちな緩みやハードルが一気に下がれいます。というよりは、そこに向かっていくために、少しずつならしていけるようになります。

数学者の時間③ミニレッスン1−1「数学者の時間をやろう」

さてアンケートや計画を立て、研究メンバーと情報交換もできたのでさっそく今年一発目の数学者の時間を取り組むことに。

おすすめの数学者ノート

まずは、「数学者ノート」の配布。これまでいろいろ使ってきたけど、一番いいのはダイソーで売っている100円のクロッキー帳。なにがいいかって、罫線がない!罫線からの自由なんです。思考が垂線に縛られずにすみます。

さっそく配布。表紙には「すうがくしゃノート」「名前」を書いて、ミニレッスン①プリントをのれん張り。

子どもたちはまだこのノートがこれから、自分の思考を支えてくれることになるとは思ってもいません。それがこれからの伸びしろでもあり、またいいなとも思うのです。

数学者の時間とは?

この時間は、数学者になる時間。子どもたちに数学者とは?尋ねてみると、「算数がとくいな人」だったり、多くの子どもたちは「よくわからない」と、身近ではないことを再確認。

数学者の時間は「すぐれた問題解決者」になる時間。そして、数学者は問題解決している人のこと。子どもたちは「まるで探偵しているみたい!」とわくわくしている様子でした。

この優れた問題解決って、実はいつもの算数でもやっていること。①問題を見つけ、②計画をして、③解決する。④ふりかえりをして、⑤共有する。

これまで取り組んできた探究自学ノートでは、それぞれの研究からまとめ新聞を作りました。その際、子どもたち同士、おうちの人からたくさんのファンレター(子どもたち全員にファンレターをくれる家の人も!コメントが温かく、僕がフィードバックの勉強になりました!)をもらったことを話題にしました。それも共有。実は、どの授業でもやっているってこと。

問題解決にはまず計画から

今日のイガ問を配布。いきなり問題を自分で見つけることはなかなかできません。ゆくゆくはそうなってほしいけれど。最初は、僕からとくとオモシロい!良問を配布してスタート。早速、数学者ノートを見開きに張り出します。

まずは問題をじっくり読むことから。「下の魔方陣には、1〜9の数字が入ります。たて、よこ、ナナメの和が15〜」と、全員で確認。その後、難しい言葉を確認。すると、「それぞれ?」「和?」の意味を確認しました。

問題を読んで解法の計画を立てます。計画がないのは無計画。すぐれた問題解決者は計画がみそ!【求めること】つまりこの問題のゴールと、【分かっていること】を確認。「残りのマスってどのこと?」みんなで指をさして「ここに数字をいれるんだね」と確認しました。

分かっていることをたずねてみると、「1〜9の数字を一つずついれる」「縦、横、ナナメのそれぞれの和が15ね」をすんなり。そして、【使えそうな作戦】を出し合いました。
・足し算作戦。
・15から引く引き算作戦。
・試す作戦。
・たしひきの筆算作戦。
・ものを使ってみる作戦
・暗算作戦。

ここではヒントとなる「7」の扱いが出てきませんでした。この辺りの見通しは、問題解決経験の蓄積がものをいうので、実際に問題に取り組んでから気付くまでそっとしておくことにしました。一方、「暗算でやってみる」って子には、間違えのパターンを明らかにするためにもメモしておいてね、と告げました。間違えた例も一つ解決に向けての前進です。ある子から「メモを吹き出しで書いてもいい?」と質問がありました。自学ノートでも練習していたこと、さっそく活かそうとしてくれていいなと思います。もちろん、OK。今後、ミニレッスンで「うーん」「あぁ!」のメモをとる練習もする予定のため、さらりと済ませました。もし、数学者ノートが見開き2ページでたりなくなったらおかわりどうぞ!と次のページをじゃんじゃん進むように。

最後に、学び方のこと。いつものように、一人で静かに考えてもいいし、友達と一緒に解いてもいいことを確認。解決の時間は10分ぐらいでやってみようと投げかけました。でも、実はこれがなかなか思うようにいかなくて。。。2年生では30分ぐらいあってもいいほどでした。

問題へ取り組む勢い

僕は数学者の時間に取り組んでいて、好きな時間の一つがこの「問題へとりかかる瞬間」です。教室内の空気が一気に変わり、わっと集中する子や急にふらふらして友達と話しに行く子、なにか解決に向けて勢いが生まれるこの時間がたまらなく好きです。

教室を見回してみると友だち2〜3人でやる子は3分の2ぐらい。一人でやる子もちらほらと。引っ張られないでいいなと思いました。今日ははじめての数学者の時間。個別に支援に入ると言うよりは、全員が熱中しているかをやんわりと見回りました。しばらくすると「でたー!」と解けた喜びの声が聞こえてきました。すかさずぼくは「気のせいじゃないの?」とすかします。子ども同士答えをみあっていると、「答えが一つじゃない!」って気付いたようです。

子どもたちはやはりプリントの3×3のマスに答えを書いては消しをやりがちでした。やっぱり、書きたくなるのはしかたなし。けれども、それだと「解いた道筋」が残らない。すかさず、できないパターンもメモしておいてね、と何度か確認しながら教室をまわることになりました。これは問題の提示の仕方を工夫すればなんとかなりそうですね。

けれども一方で、子どもたちの中にはまだ「系統的に試してみる」作戦がないことも分かります。何か問題解決に当たりをつけるときには、順に一つずつ丁寧に追っていく方法がかかせません。これからのミニレッスンでも扱う内容なので、そのときの材料として今回のケースもとっておこうと思いました。

そろそろ時間だけどぉ〜と告げると「まだまだ(やる)〜!」というので、こちらが説明に時間がかかってしまったので、今日は共有の時間を無しにして、のこり10分間じっくり問題に取り組むことにしました。こういう柔軟な時間の使い方もワークショップ授業のよさでもあるなぁと、自分の時間管理の甘さをたなにあげて思うのです。

「この問題は家に持ち帰ってできませんから!」と高らかに僕が告げると、「えー(家でもやりたいー)!)」との反発の声が。そうです。少し授業で安定してきてからでないと、家で解いても深まらないのでしばらくは学校でクラスの中で試行錯誤を一緒にしていこうと思っています。

最後に、振り返りを一言書いて、提出して終わり。そこには、「くやしかった」「さいごギリギリでとけてうれしい」などなど。いいなあ。考えるのがめんどくさい!ってアンケートに書いていた子ほど、熱烈な参加者になっていました。

考える算数の世界へ一歩踏み出しました。今後、定期的に続けていこうと思います。

あー、楽しかった。

数学者の時間② ミニレッスン1「数学者とは?」計画案

数学者の時間の研究に取り組むに当たって、いかに事前の計画(年間、単元、1コマ)が大切かが身に染みて分かってきました。「学習の見通し」がなければ、その場しのぎの実践にならざるを得ないってことなんですね。

けれどもこれがくせ者で。やってみないと学習の見通しは立たないという矛盾もあります。僕の今の立ち位置は、「事前にまぁまぁ準備して、毎回の授業を振り返りつつ修正しつつ、子どもたちと一緒にゆられつつ、授業を作っていく。」そんな感じです。やりながら、子どもの夢中にも巻き込まれながら、盛り上がっていく、それが楽しいんですね。だから、何年たっても、ふんわりとした見通しはすぐに立つのですが、キッチリマンにはなれそうにありません。

この1コマ目で大切にしたいこと

・数学者の時間とは?を知ること。
・良問を解いて、算数には算数授業だけではないオモシロさがあることを実体験を通して知ること。

事前の準備したもの

・イガ問3問(3方陣3×3、4方陣4×4ヒントあり、円陣2×2)
・子どものつまづき予想例
・解答例イガせん数学者ノート(いつ見てもいい)
・「数学者の時間とは」プリント(穴埋め)
・授業記録ツール(模索中)

子どものつまずきやレディネスについて

・3方陣だと、解答のひっくりかえしの2パターンあることで混乱しそう。
・系統的に順番に解く見通しがない→個別にカンファ(順番でやるよさを実感させたい)
・ノートに書こうとしないで、答えだけだそうとする子がでてくる。→思考をゆっくりするための記録、そのよさとは?を考えたい。

・子どもたちのこれまでの様子から3口の足し算はできそうとみました。事前に子どもたちにとって何が良問であるのか?を議論してきました。それは、「今の子どもたちにとって良問であるのか?」というレディネスそのもの。解法が多様にあることやオープンエンドの問題であること、それらは良問であるけれども子どもの実態(まだ思考体力が育っていない状態)では良問とは言えないこともあることが分かってきました。このあたりは先生一人ひとりの千里眼。子どもを見立てる実力に左右されてしまうだけに、今後、なにか指針を見つけられるといいなと思っています。

授業の大まかな流れ

  1. 授業のおおまかな流れML:優れた問題解決者とは?10分間 ★語るだけではだめだろうな。実感が伴わないと。だから短くしておくこと。
  2. 問題→計画→とく(一人で/友達と)
  3. 共有:順番で3口の足し算を確かめている子を選んで、解答法を発表。

さて、授業にすすむぞー。

数学者の時間① 算数アンケート

実践の記録も残していこうと思います。

数学者の時間に取り組むにあたり、毎年、算数アンケートから始めます。今年は2年生。素直な子どもたちいっぱいです。

アンケートって鏡。これまでどんな算数世界とであってきたのかがはっきりと見て取れます。だから自分自身の反省の材料にもなる。これまで僕の傾向としては、利用する生活にねざした算数の意識が弱いところがありました。この辺りは今年、成長していきたいところ。

多くの子どもたちは算数がスキ。特に今年になって「先生、友達に相談できるのがいい」とのことでした。また、算数では、課題を終えた際のイガ問(発展問題)がなかなかおもしろいようです。家にまで持って帰って、親子で考えてもらったりしてくれて、嬉しい限りです。

ただ、算数関連の習いごとをしている子にとっては、「考えることがめんどくさい」って子が何人かいました。じつはこういうことって、子どもたちの生活場面とつながっていることが多々あったりして、教科だけが分断しているとは思えなくなっています。

考えることの楽しさ、考えることのよさが、数学者の実践を通して、伝わっていくといいなと思っています。半年後、改めてアンケートを撮り直したときにどうなっているかな。

あー。楽しみ楽しみ。

算数アンケート