数学者の時間⑥ ミニレッスン2−1「1コマの使い方」

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ワークショップ授業の1コマの使い方を説明しました。

①ミニレッスン(先生からのミニ授業/問題の確認や計画づくりのさわりなど)

②ワークタイム(解決への活動)

③共有と振り返り取り組みの内容によって、柔軟にどれかを省いたり、重点的に扱ったりします。


今回の問題は「お札の上にコイン問題」。前回は数と計算領域から扱ったので、今回は発想を変える問題。つまり、始めに思ったやり方では通用しない問題。だからこそ、実際に体験してみる、やってみることが大切な「ハンズオン」の問題。手を使うことで、思考が活性化されるので、ものをつかうことは「マインズオン」マスになっていくんでしょうね。


今回は、問題の選択と子どもたちの実態がフィット。この半年の中で2年生の子供たちにフィットした授業づくりができるようになったなと思える授業でした。きっとこの一年間を振り返った時、もちろんもっと改善点や反省点はあるけれど、いい授業だったなぁと思える授業の一つでした。


何よりも僕も楽しかった。子どもたちが夢中になって試行錯誤しているその空気を一緒にいること。僕がワークショップ授業にこだわってきたのは、こういう時間を一緒にすごすことだったのかもしれません。先生やっていて、考えることを一緒に楽しむそのときでした。


自分の授業を振り返っていると、細かい点は毎回出てくるけれど、それをしらみ潰しにしていくといい授業にたどり着くのかというわけではなさそうです。きっと授業の押さえどころは、思考を活性化させる「挑発的な課題」だったのかもしれない。エビデンスでもそうであるように。

すぐに答えが出てしまう問題

コップの縁と底では太さが違うんですよね。そして、2年生の子どもの拳だとあんがい狭い!そんな予想が事前にふっと思いはよぎったけれど、流してしまいました。すると、「できた!」ってすぐに解決してしまうことが起こりました。このとき、無理に修正しなくてよかったです。「なるほどー」と聞いてみると、その子は納得していない様子で、もっとより良い方法の模索(より頑丈な紙の橋)に進んでいました。答えが出ると安心するんでしょうね。解きやすく、多様な解答方法があること、こういったことも良問の要素の一つなのかもしれません。


わかっていること(知っていること)の条件文を変えて問題解決をしようとする子

もちろん問題条件に戻って再確認をしました。けれども、そういった自分なりの問題から逸脱した試行錯誤は、後々解決方法に生きてくるかも知れない可能性は十分にあります。それも認めつつ、「今のわかっていること(問題条件)でクリア出来たら、次をやってみるといいよ」ぐらいが、妥当なのかもしれません。

単発の量的なやりとりは活性化をもたらすけど深まらない

自分のクセとして子どもとの対話が単発になりがちワークタイム中は、いろんな子が話しかけてきてくれます。とけたとき、悩んでいるとき、様々。一方、僕はクラス全体の様子を知りたい。個別のカンファはもっと先かと判断しているのに。こういったとき、単発になりがちなのは仕方ないのだろうか。本来なら、もっとじっくりと対話を続けて、いって子どものアイディアを深めていけるチャンスが埋もれてしまっているかもしれない。どうしたものだろう。

この授業では、ワークショップ授業の流れを知ることだったけど、何か賢くなったかというとそういう授業ではなかったかな。考えて満足したって時間でした。授業終わった後、「今日の授業はすごい面白かった。家でもやってみようかな」と、のこりの札束を持ってけって行きました。今朝、「イガせん、(100円玉より重い)500円玉のでもできたよ。千円札って紙よりも固いから遣りやすいんだね」と、なかなかマニアックな報告をしてくれました。この子は、「使えそうな作戦」を出し合ったとき「考えてやってみる作戦」を出してくれた子でした。きっと彼は今後、じっさいにいろいろと手を動かして学んでいく学習スタイルを茫洋と持っているんだろうなと感じさせてくれました。


次の展開は、ある少年が「お札1枚と100円玉5枚でも(橋が)できた!」という子どもの問題ですすめるか、それとも次のミニレッスンに進むか悩むところです。


振り返りを動画でもう一度見直してみること。そこで気付かされる事実がたくさんありますね。子どもたちが実はいろいろと面白いことをやって輝いている。案外、見落としていることがおおく、みたい物しか見えていない自分がいることに気付きました。しばらく、自分の授業とじっくりと付き合っていこうと思います。

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