算数メガネを使うことで、今まで見えていた世界の解像度が変わって見える経験をさせてあげたい。それは一体どんな授業になるんだろう? この1〜2カ月間ずっともやもやと考え続けていました。

一年間のまとめである3学期を迎え、コロナで学校閉鎖もあり、なかなか予定通りいかないことが多く、翻弄されっぱなし。そうだったからこそ、見通しも立ちにくい中でも、やっぱり「教師が」やってみたいことがあること、その心の持ちようが何よりも大事なんだと確信できました。

子どもたちとやりたいことがある。その気持ちがあるからこそ、いろんなものに翻弄されながらも、最後まで駆け抜けられる持続力が生まれる。まずは何よりも担任の願い、やりたいこと、チャレンジしたいこと、こういったことを十分に広げる発想からスタートできたことがうれしい一歩でした。

ここに気づけたのは、数学者の時間の研究メンバーとの対話からでした。仲間に感謝、感謝。毎週末の早朝からのzoomはなかなかしんどいこともあるけれど、継続するモチベーションの一つになっています。

子どもたちの生活から、身近なものを使って算数教材化できるものはないか探していました。子どもたちの生活の文脈を生かすことをベースに、教えるべき内容があること、さらに深めると面白くなりそうなこと、こういった算数メガネの視点で日々の生活を見直してみると、ふっと一つのイメージが湧いてきました。それは今年、毎朝あそび続けてきたしぜん広場の池のことでした。

子どもたちはこの1年間ずっと池の周りを走りまわったり、水の流れに沿って登ったり降りたり、雨が降ってもびしょ濡れになりながら駆け巡ってきました。最近では、池に角材を渡して、人間ピタゴラスイッチと称し、綱渡りをしてこっそりあそんでいます(笑)。

最初は、水の池を全部測るのが面白そう!とアイディアが浮かんできました。その名も「水の池、全部、測っちゃいました」。 しかし、3年生レベルでの思考方法ではなかなか水の量まで広げると手立てに限界がありそうです。教師が引っ張り続けること必須か、または賢い子におんぶにだっこになってしまいそう。

でもまてよ。池の周りの長さに目をつけてみると、おもしろそうなことができそう。これまでは直線しか測ってこなかった自分たちが、曲線をも測ることへの挑戦。果たして、直線を測る方法で曲線を測りきれるのか。さらには学級全体で一つの池の周囲を測定後、個々人やグループごとの興味関心により曲線や測りにくいものを測ってみるとおもしろそう。長さの概念がより多面的に捉えられる機会になりそうです。

このあたりこそ教材化できるのではないかと思い、早速、池の周囲を歩足で測ってみることにしました。横に子供たちが数人くっついてきて「何やってるの? 何やってるの?」と興味津々。そのとき、面白い場面を目にしました。それは、しぜん広場を使って自分たちで「丸太に5秒以上乗る」などいろいろミッションを出し合い、達成できるのかを試すミッションあそび。

「イガせんも何かミッション出して!」と言われたので、そのミッションあそびの延長で算数ミッションを大々的に課すことにしました。これをこの学習の導入にしてみうと。これまでずっと、子どもたちがなぜしぜん広場の池の周りを測る必要があるのか? その文脈をどう引き出していくのか、ずっと頭を悩ませてきました。それがすんなりとミッションあそびと言う形で子どもたちへ提供できそうです。ほんと、助かる。ありがとう。

これまで算数は何のために使うのか、その有用さはテキスト算数では時数に追われ、限界がありました。もうちょっとだけ、体験すれば、もっと理解が深まるのに。そういう算数単元になんども出くわしてきました。便利な道具としての算数、算数の有用さは使ってみないとわかりません。子どもにとって「つかえる算数」シリーズとして、実践研究を進めていきたいです。さて、いよいよ第一次がはじまります。楽しみです。