2020年 1月 の投稿一覧

算数アドベンチャー 美しい算数編1

6年前、こういったことをやりたかったんだろうなぁとつくずく感じています。当時はまだ数学者の時間がなんなのかもまったくみえておらず(それもそのはず、そもそもそんな実践なかったので)、ここ数年ずっと引きずりながら、学びながら、もがきながらやってきたこと、いろんなものがつながって、ようやっと一つの実践になってきそうな予感です。はい!まだ予感です。計画段階なので、なんとでもいえちゃいます。

  • 学級づくりと学習コミュニティ
  • 一斉指導とミニレッスンのちがうことと同じ事
  • 年間を通した探究と学期ごとの探究
  • コンピテンシーを越える好奇心
  • 問題解決のサイクル(数学的思考)と問題づくり
  • 知識づくりとmeaning making
  • 概念と学習の転移・パフォーマンス評価とものづくり
  • 共有の時間と共通のテーマ
  • 形成的評価とフィードバック
  • 個別カンファランスと明確な学習目標
  • ルーブリック評価と発表スキル
  • 構成的な学びと非構成的な学びのバランス
  • 学習者による学習の選択とモチベーション
  • ひとりひとりをいかすための教科書の教材化挑戦的な課題とフロー
  • 算数授業との往還
  • そして、教科の専門性こそ学習者へのガイド

こういった部分、部分、これまで学んでできたことが、僕の頭の中ですこーしずつ、つながりはじめてきました。まだ詳細でばっちりな学習計画にまで落とし込めていませんが、走り出せそうな予感とわくわくする楽しさ、そして、うまくいくのかちょっとした不安。


けど、たぶん楽しい学びになるはず。子どもたちはすごい力があるのをみてきたから。そして、同時期に取り組もうと準備している、他校の仲間の実践に刺激をもらっているから大丈夫。

いよいよ来月から、「算数における美しさをみつけて、表現しよう!」を大きな目標に探究する算数、はじまります。2ヶ月後が楽しみです。
そおさ〜、今こそ!算数アドベンチャー!!(こういうの古いっていわれるけどしょうがない)

数学者の時間 子どもの思考は力わざだ

三学期も始まり、落ち着いた日常がもどってきました。久しぶりの数学者の時間は、トピック問題でクラスの子からもらった年賀状問題から。最近、子どもたちからの年賀状はオリジナル問題を送りつけられてきます。それもまたよし。

これはなかなか頭をひねる問題でした。しかもうっかりミスも問題の中にあり、さらに難易度を増していました。ならばこれを授業で使わない手はないな、とさっそくみんなで解いてみることに。


二学期の復習もあり、問題解決のサイクルの「問題」「計画」「解決」「ふり返り」を忘れずに〜と声がけしました。「そうだそうだ。思い出した」などといいながら、数学者ノートに、計画を立てて取り組みはじめました。

改めて思うけど、こういうこれまで解いたことのない未知の問題は、解決の見通しとして「使えそうなこと」は最初は当てずっぽうでしかない。解き進めていくうちに少しずつ勘所がわかってきて、解法の見通しがたってくる。それでいいと思うし、そうでなければ、「教科書のように前時のアイディア使えさえすれば解決の見通しが立てられちゃう」思考から抜け出せないだろうな、そんなことを感じました。

二学期に学んだ「計算のきまり」を使っての問題。答えを組み合わせると、なんかの言葉ができるとか。多くの子たちはまずはためしに自分ひとりで考えたいと取り組んでいました。しばらくして、思い思いに立ち歩きはじめ、年賀状の送り主に「ヒントちょうだい!」ってすりすりしていました笑。

四則計算は解けるけど、その数字を使って「言葉をみつける」段階がわからない。だれもが頭を悩ませていました。すると、その答えを「きっと言葉は、イガせんことしもよろしくだな!」と無理やり推論してみて、その解答にあてはまるような50音暗号の組み合わせ試し始める子が増えてきました。このときがこの時間のハイライトでした。まさにアブダクション(推論のひとつで仮説思考。シャーロックホームズはこういった思考が得意ですね)! 強引な解決にみえるけど、すごい力業の論理的思考。じっくりとあきらめない思考体力だけでなく、瞬発力ある思考力がすばらしい。

余談だけど、このアブダクション(という言葉は使っていなかったけど)と同じことを、国語教育でもだいじだねって、内田樹さんがブログに書いていました。長いけど、人がどう育つってことはとても示唆に富んでいる指摘です。
アブダクションの本ではこの本がとてもおすすめ! 帰納・演繹をていねいに整理されています。

その後、じわじわと答えをだそうと広がりつつありました。が、ここでタイムアップ。後でノートを見てみると2〜3人が解けていました。「もっとやりたいー!」「ひさびさに頭つかったー」と三学期1発目の数学者の時間が終わりました。

次の時間はいよいよ数学的思考ミニレッスン10のまとめへ。そして、問題解決のサイクルを使った探究学習の算数アドベンチャーがはじまります。

子どもたちに必要なことを語り合えること

このお正月からの休み。何年ぶりだろう? ずっと風邪で寝込んでいました。節々の痛み、喉の痛み、腹の痛み、頭痛、そして倦怠感。高熱だけは出なかったけど、インフルエンザかな? と疑うも、これはきっと予防接種のおかげとおもい、薬も飲まずにおとなしく布団で寝ることにしました。次の日も続くので、寝ることに。その次の日も。そしてその次の日も。なんだかんだいって昨日まで寝ていました。さすがにこのままじゃ職場に行けないと思い、1週間を前に病院に行きました。きっとインフルエンザだぜ!しかも治りかけだぜ!と大きな期待をふくらましつつ検査をすると「インフルじゃありませんね。ただのかーぜ」と肌の荒れた小太りの医者に言われ、なぜか落ち込みながら帰ってきました。ちょ、つまんないの。

そんなこんなで、年賀状の返信や、秘密で5年間書きためてきたブログを読み直したり、1年間のふり返りを書いたり、この1週間で人と会ったり、読みかけの課題本を読み終えたり、原稿書いたり、新学期の準備をしたりと、一切なーんもできずに、今日を迎えました。でもまぁ、こんな年の始まりもいいかな、健康を大切にしようと改めて職場に向かうのでした。

今日は久しぶりの学校。行きの電車の中で、資料と動画のチェック、午前中に自分が担当の校内研修が一つ。じっくりと先生たちみんなと1時間ほど、ワールドカフェ方式で対話の時間をとりました。そこでどのグループからも共通して出てきたのが

「児童期に大切にしたいことは、まず五感を使った実体験、自己選択・自己決定すること、自分と人とのつながりや関わりを大切にしていこう」という言葉の数々。

僕はこれがとてもいいなぁと思います。さらに、心打たれたのが、何かを表現する方法を身につける前に、何かを表現したくなるそんな気持ちそのものをていねいに育てたいという願いね。

くー。こうくことはついつい忘れがちになってしまい、将来のための準備だったり、未来の不確定な時代や身につけるべきコンピテンシーなど、そのために今ここの子どもたちをふりまわしがち。やはり、地味だけど、今、ここで、このときにしか体験できないことの積み重ねたその先に、その人一人ひとりにとって、本当に必要な力は見えてくるんだと思います。

この先、たくさん迷うと思う。この旗印をもとに、ていねいに進んでいこうと思います。こういう願いを率直に語り合える、いい職場だなぁと心から思います。

うちの学校の6年間の算数で大切にしたいこと。それは、「論理的な思考を育む算数」「感動する美しい算数」「生活につながる算数」の3つ。それらを串ざすものが、今日、話し合われた「五感を使った実体験」と「自分と人とのつながり」になりそう。おしおし。何か新しい未来が見えてきたぞ。

さて、明日はいよいよ始業式。久しぶりに子どもたちに会えます。何しよう?