2019年 9月 の投稿一覧

一人ひとりをいかす算数授業 その③ ミドルアセスメント 中間テスト!

多くの人にとって「一人ひとりをいかす授業」はとても関心が高いということを実感しています。日々、どうやってこういう授業が「継続」していけるか、その構造と教師という要素に、今、興味があります。せっかくなので、実践や試行錯誤されている多くの先生たちがつながれるといいなぁ。と思っていたら、さっそくばんちゃんと新宿で会うことに。何事も、つぶやいてみることです。

さて、前回はプレアセスメントについて書きました。アセスメント(評価)にはプレアセスメントとポストアセスメントがあります。プレとは事前の評価、つまり診断的評価のこと。ポストアセスメントとは事後の評価、つまり、おまえはすでに○○でいる手遅れ評価のこと、いやいや、終末評価のことです。

今回はそのプレとポストの間の、ミドルアセスメントについてです。はい。勝手な造語です。最初で既有知を確認したら、最後の評価までの間に「形成的」に評価をいれていきます。形成的って教育用語で、ゴールと照らし合わせて、学習がどこまで進んでいるかをチェックし、これからどうしていったらいいかを進めていくこと。

この形成的ってのがくせもの。どのくらいの頻度で、何をどう見届けるのか。ここがまた難しい。これまで毎時間の小テストなるものもやってみたときもありました。けれど、それはどうも短期記憶の短距離勝負。その時間の定着を繰り返しドリルしているかんじです。もう少し長いスパンで測って、思い出せる仕組みの方がいいんじゃないかなぁと思い、単元の真ん中あたりで、プレアセで使った同じテストを1回目のテストの裏に印刷して、配りました。その名も中間テスト!センスなし!!

子どもたちには「そろそろ中間テスト(仮)やるよー」と、驚かせます。けれど、予想に反して「たのしみー」「わーい」でした。笑。自信があるんだね。なによりです。

なかには「イガせん、裏(のすでに解答していある自分の答え)見てやっていいの?」と正直に聞いてしまう子もいます。「ぜひやってほしい。けど、最初からじゃなくて、一度、解いてみてから自分がどれだけできるようになったかを確かめるために、チラ見して」というと、「チラチラ」とうれしそうにみていました。

中間テストをやってわかったけど、毎回、一人ひとりの見届けはしているつもりだったけど、やっぱり中期の理解においては1〜2人は定着していない子もいます。その子に焦点をあせて、どう関わるかを考える材料にできたのがよかったです。うれしいことに、浅い理解については多くの子たちはできるようになっていました。

こういう定点観測は、先生にとっての大きな安心材料と授業修正のきっかけになります。子どもたちがどれだけ学習が進んでいるのか理解するつもりだったのに、自分にとってもお得でした。

秋の夜長におすすめマンガ つい2巻以降を買ってしまった9タイトル

「夏休みの移動中、おすすめの本はないですかー?」とSNSで尋ねたところ、なんとなんと!80タイトルほどお知らせいただきました。ご協力ありがとうございました。みなさん、ほんとよくマンガ読んでらっしゃる! 暇だからマンガを読むのじゃありませんよ。マンガは文化だから読むんです。そう、僕らは文化の継承者なんです。

僕がすでに読んでいるものもあり、自分ではあまり手に取ることのない本も数多くあったので、薦められたほぼ全てはチャレンジしてみました。約40タイトルほど、すべて1巻だけKindleで購入。キン肉マンと聖闘士星矢に育ててもらったからこそ、今、少しマンガ界に貢献できたかな。

その中でも、もう続きが気になってしまい、旅先でポチポチして、ベッドでゴロゴロして、読みふけってしまった本をご紹介します。「あのマンガがはいってねーじゃん!」という方、安心してください。すでに僕は読んでしまっているからです!(たぶん)。


まず、もう留まらなかったサスペンス系。3つ。『サマータイムレンダ』『夢で見たあの子のために』『寄生獣リバーシ』

表紙を見て『 BOYS BE…』を期待していた人は水をぶっかけられる衝動があります。はい。僕はそうでした。僕の好きなタイムリープ系。「時をかける少女」「君の名は」で、こうくるかー!って思った人には、はずれません。『寄生獣』の作者である岩明均の『七夕の国』を彷彿とさせるような恐ろしさもありました。これがジャンプで連載ってところがまたいい。

三部けい『僕だけがいない街』にはまった人なら、この作品は外せません。この作者はよくこういう「双子、記憶共有」なんて設定が思いつくよな。Kindleでページめくりの指がとまりませんでした。


しぶかった月刊誌アフタヌーンで連載していた『寄生獣』好きにはうれしいスピンオフマンガ。展開があまりにも遅すぎる!3巻まで読んで、1巻分くらい。けど、そこに見合うキャラ設定がたまりません。寄生獣との共存はなりたつのでしょうか?

科学もの2つ

『ブルーピリオド』『Dr.STONE』

この夏の一番のヒットはこれ。僕は最近、現代アートに興味がありました。けれども、なんともあの作品群をどう理解していいのかサッパリ。このマンガは国立の美大(東大より難関!)を目指す美術部高校生の受験勉強で葛藤する繊細な話と、抽象的なアートの世界の見方・描き方を学べちゃうすぐれもの。こういう本を読みたかったんだな。

子どもたちの心を離さない、「友情、努力、勝利」に加え、化学が入った3500年ほど後の地球のジャンプ王道マンガ。理科のことこれからたくさん学べそう笑。文明が滅びた世界に、あったまいい少年が、最強高校せいをぶったおすために、科学文明を起こしていくお話。比べて読むなら、『創世のタイガ』かな。こっちの方はより原始時代にワープしてしまった学生がリアルに描かれています。僕はiPhoneのコンセントがないとこういう世界は生きられないかも。

歴史もの2つ『イサック』『乙嫁語り』

こういう史実があったんですね。火縄銃を持った日本人がヨーロッパで戦かったって。設定もおもしろいけど、なにより主人公イサックの火縄銃の腕前、城を守る戦略には引き込まれます。その展開のおもしろさと画力によって、ついついポチポチしてしまった!

美しい。どのページを見ても、それ一つで作品になっています! 何よりも描き込まれる絨毯や民族衣装がすごすぎる! もう心はイスタンブール。中央アジアのペルシャ世界。隣の村に嫁いでいったお嫁さんの日常のお話。一日の最後、心をほっといやしながら一緒に眠りたいマンガです。

なんといっていいかわからない。『不滅のあなたに』

これ1巻読んだだけでは、全くわからない。薦めていいのか? けど強烈に薦めたい! 主人公がなんなのか。誰なのか。雪の世界に最後の一人。仲間を探そうとひたすら歩き続ける少年?犬? この設定で1巻を乗り切って、よくぞ連載勝ち取った!と作者、出版社に感服。これまでにない展開のおもしろさがあり、つい2巻目以降を購入してしまいました。不老不死をテーマに『火の鳥』を彷彿とさせるお話。

医療系マンガ。『フラジャイル』

治療方針を決める病理医のお話。お医者さんのこういうプロ仕事に対して理屈っぽいのは好きだな。リアルな話っぽくてこれはこれでとても好き。理屈っぽいのに『ミステリと言う勿れ』があるけど、そっちもかなり好き。併せてどうぞ。

「ちゃんとオススメ本教えたんだから、何がおもしろかったのかおしえろよ」という強い圧力に屈し、ご紹介しましたが、いかがでしたか? 読んだら、ぜひいっぱい飲みながらマンガクラブしたいものです。秋の夜長にぜひ!


お断りしていくけど、これらは僕の強い興味関心と結びついているので、改めてリストアップしてみると万人うけするものではなさそう。でも、読んで損はありません。まだ、他にもオススメあったら、ぜひ教えてくださーい!

一人ひとりをいかす算数授業 その② プレアセスメントから

“もし私が、教育心理学の全てをただ一つの原理に変換しなければならないとしたら、私はこう言うだろう。「学習に影響を与える最も重要な唯一の因子は、学習者がすでに知っていることだ。それを確かめ、それに応じて適切に教えよ。

”アメリカの心理学者デイヴィッド・オーズベル

ずきゅん! やっぱし!

まずはじめに取りかかったのは、誰がどこまで「わり算のこと」を理解しているか既有知を調べることからにしました。相手のことを理解することは、人と関わる上でもかかせないものねぇ。

Prior achievement:学習の到達レベル d=0.64

ジョン・ハッティ『学習に何が最も効果的か』

その子が今、どれだけ理解しているのかを活用して授業するのって、めちゃめちゃ、効果が高いじゃん!

昨年度使っていたプリントに手を加え、単元テストっぽいものをつくりました。これまでの2桁÷1桁のわり算に加え、今単元で学ぶ2桁÷2桁、3桁÷2桁、文章問題などのプレアセスメントテストです。このことについては、これまでブログにも、教育雑誌にも書いてきました。作るのちょっとめんどくさいんだけど、最初につくっておくと、単元の最後にも使えるし、それ以降、自分の教材として使えるので、何かと便利でオススメですよ。

実際に子どもたちには「ぜんぜんできなくてOKだからね。」と話しました。「なんせ、まだ学習してもいないテストなんだから。もしかしたら数問解けたらラッキーね。できねぇなぁ、わかんねぇなぁ、こんな勉強するのかぁって味わいながら解いてみてね。成績とか全く関係なくて、みんなが何を知っているかを教えてほしいんだ。問題で悩んだところには『うーん』って書いといてね。大丈夫、わからんとき脳みそはシナプスいきいきしてるんだから」と、調子のいいことを言ってやってもらいました。

驚くことに三分の一の子たちはすでに満点に近い。残りの子たちが、素直に未学習。そういう子たちっていいなと思いました。もちろん「記憶にございません!」しちゃっている子もいます。この一人ひとりの結果を元に、この単元の計画を立てていく材料にしました。こういう教室の事実にこれまで、見て見ぬふりしていたんだなって思う。これは教え手の都合。一人ひとりに焦点を当てようとすると、これまでの仕組みにいろいろガタがきていることが、すけて見えてきます。

このプレアセスメントテストは、実は今後もしつこく使っていくことになります。僕はここがミソだと思います。とまぁ、今、何を理解しているかを大それた調査をするよりも、簡単な自作プリントでテストしたわけです。

一人ひとりをいかす算数授業 その①

算数は、単元内自由進度はやめました。

僕の未熟さもあり、子どもたちにとっては算数はスピードレースとなりがちだったので。今では鬼の形相で「算数にスピードはいらぬ!」と優しく訴えています。

進む子はどんどん先にいって、満面の笑みを浮かべて、算数大好きとなっていく。一方、学習方略を持たない子にとっては、なんだかいつも遅れをとり、置いて行かれている感じがどこかに残ってしまう。先生や友だちもサポートしてくれるんだけど、まだまだ自信が足りない。

そもそも、やるべき課題がズラーッとならんでいる単元表を渡されるのも、なんだか気持ち悪いものです。すでに学びにエンジンがかかっている子にとっては、単元計画表などの見通しはやる気に変わる強力ツール。けれども、まだ自分の学びの責任にコミットできない子にとっては、かなり苦しい。フルマラソン42.195㎞にいきなり挑戦させられるようで、不安が先行してしまう。

これを支える安心感のクラスの関係性や学習内容や課題の調整、そこでの試行錯誤の時間こそが大切だといわれれば、そうなのかもしれない。けれども、ぼくはどこか他の道はないかと模索してみました。

一人ひとりの理解度にそった授業を「継続して」できないかな?

そう思って、4年わり算の習熟では、一人ひとりの意欲もそうだけど、安心してやれること、その子に応じた課題があるといい。習熟の早い子も、普通の子も、時間のかかる子もだれもが「うーん」と頭をひねってシナプス爆発フィーバーしていてほしい。

これまで、『一人ひとり〜』関連本をいくつか読んできたけど、日本の教育実践で継続して取り組めるイメージがわかなかった。なら、つくるしかないかな。このおいドンが!と思い、一人ひとりに焦点を合わせた授業づくりをはじめてみました。

しばらく、そのことについて考えたことややったこと、効果があったことや効果がなかったことなど、記録していこうと思います。

二重跳びはもう古いぜ。これからは組み合わせ技だぜ

中高の先生とギネス世界記録保持者での縄跳びプロパフォーマーのSADAさんと一緒に、運動会の表現に向けて「リズム縄跳び」をつくっています。

SADAさんにはすでに、4回も来てもらい八の字跳びのマニアックなコツとか色々教わっています。個人的に僕は「おしり跳び」と「にゃんこスターストップ」が好きです。

縄跳びの技というと、ついつい高度な二重跳びとかハヤブサとか。そうじゃなくて、リズムを変えてとんだり、グーチョキパーしてとんだり、ちょきちょきとびして、まるで歩いているようにみせて跳んだり。簡単な技でも、組み合わせることで、とても楽しくなります。

縄を頭の上で振り回したり、ヌンチャクにするだけでも技にみえるし。腕にぐるぐる巻き付けて縄を止める技や目の前でバッテンにしてとめるのもカッコイイ。高度な技よりも簡単な技の組み合わせって、縄の可能性をものすごく引き出してくれ、どんな子にも届く。

さらに、縄3本の三角形で三人同時にで跳んだり出たり、1列を順にターナーが飛ばせる技のトラベラーをしたり、もうこうなると、縄跳びというよりは、課題解決型のアクティビティ。

子どもたちもノリノリで、それにこの間の合宿で踊ったダンスも織り交ぜて、すんごいのができる(予定)。

二重跳びなんてふるいぜ。今は、チョキチョキ歩き跳び(顔を横向いて笑顔で)からのにゃんこスターストップだぜ。

ということで、組み合わせ技縄跳びシートを共有しときます。この冬にぜひ、チャレンジしてみてください。

週末の宿題は「遊び」にしました

週末の宿題を変えてみました。これまでの上履き洗い(昭和みたいにしぶい!けど保護者には感謝されます)に加え、「スクリーンタイム」を減らして、遊ぼうです。


やっぱり、子どもの頃はとことん遊んで、はげしく遊んで身体面、はげしく人とぶつかりあう社会性、はげしくいたずら考える思考面、激しく怒られるにもかかわらずやってしまう意欲面などなど、遊びには学びに欠かせない、いや、それ以上の気持ちの発憤と楽しさと成長が埋め込まれています。だから、遊ぶにもはげしく遊んでほしいのです。いや、はげしくなくてもいいけど。


子どもたちのふりかえりをのぞいてみると、一番、楽しそうなのは家族でボードゲームをしたり、カードゲームをしたり、スポーツなどやったり、一緒に遊んで、会話が増えること。あぁ、オイラが子どもの頃は家族や親族で花札をやって、世の中のせちがらさを知ったもんでした。それもまたなんか楽しかったし。


ふりかえりには、やったこと気づきを書くようにして、そこに保護者の方からもコメントをもらっています。こまめに書いてくれるので、本当にありがたい。僕も、子どもたちにも励みになります。


小学校段階でのスクリーンタイムを短くする約束事は、なかなかハードな家族相談会議のようです。「イガせんのせいで、YouTube時間がいっきに30分にされたー!」って子もいれば(あら、ごめんなさいねー。しめしめと口にだして言っています。)、「スクリーンタイム減って楽しくなった」って子もいます。ここ2週間の様子をみていると、すごく休み明けのスタートもいいかんじでした。


もちろん、なかにはうっかり勉強しすぎてしまい、学校でたっぷり遊びをやりなおしている子もいます。それもまたよし。

しばらくは続けてみようと思います。

こんなプリントを配布して、自学ノートのバッチリメニューに貼ってくるようにしています。


ちなみに、宿題なしで遊びや他のことを選んで取り組む宿題選択制についてこの本に詳しいです。

夜9時以降のスクリーンタイム0キャンペーン実施中

2学期もはじまり、3週間がすぎました。せっかく、ブログを新しくたちあげたのに、授業と学校がおもしろくて、なかなかここまでエネルギーが回らず。気が向いてきたので、また勝手にせっせと始めていこうと思います。


最近は、僕も子どもたちと「スクリーンタイムを少なくする」取り組みをしています。プログラミング教育について、いろいろ考え、準備しているところで、「はてはて? 果たして本当に、小学校のこの発達段階に必要なことなのか?」と疑問がむくむくわいてきます。経済界や社会からの要請だからといって、「いえっさー、了解した!」とはなかなか思えません。


僕がアクセスできる文献を当たる限りでは、まだはっきりしないけれども、画面を通して学ぶことは幼少期の脳の発達には良好ではなさそう。海外のブログでは、とくに健康被害が多く指摘されています。怪しいというのならば、とことん調べるしかないと、今は子どもの発達について調べているところです。


僕はもう、いいおっさんなので、すでに脳みそも硬直化しはじめているかもしれないし、今後、飛躍的に成長することは限りなくすくなさそうなので、スマホに人生を捧げるのもいいかもしれません。なんて諦めないようにしようと思います。脳には可塑性があるから!まだそのわずかな可能性にかけて!


その経過途中もあり、僕自身もスクリーンタイムを減らす取り組みをしています。手始めに、「夜九時以降のTV、PC、スマホ、タブレットなどのスクリーンタイムを0分にする」です。iPhoneにはその設定があるので、目覚まし以外のほとんどのアプリが暗くなって使えない状態に設定しました。まぁ、パスワードを入れ直したり一手間すると使えるんだけど。


バスケやラグビーのワールドカップで夜九時過ぎることもあったけど、ここで2週間の調子はとてもいいです。というか、いいことしかありませんでした。

生活にメリハリがでてきて、本当に観たい動画や調べたいこと、書きたいことは時間をうまく管理してやるようになりました(気がする)。なによりも、ものごとをじっくりと考えるようになった(気がする)。人との会話が一気に増えた(気がする)。そして、人類の英知である古典的小説なんか読むようになりました(これは確か)。そして、スクリーンからのブルーライトカットのため、夜は早くぐっすり寝てしまい、休日だというのに、朝は5時前に起きてしまう。もう、早起きおじいちゃん無敵状態! 


あの頃、夜にスクリーンに目を縛り付けられていた自分を思うと、なんともまぁおそろし。やってみないとなかなか気づけないものです。
とうことで、今夜も本を手に秋をしっぽりと味わいます。