一人ひとりをいかす算数授業 その② プレアセスメントから

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“もし私が、教育心理学の全てをただ一つの原理に変換しなければならないとしたら、私はこう言うだろう。「学習に影響を与える最も重要な唯一の因子は、学習者がすでに知っていることだ。それを確かめ、それに応じて適切に教えよ。

”アメリカの心理学者デイヴィッド・オーズベル

ずきゅん! やっぱし!

まずはじめに取りかかったのは、誰がどこまで「わり算のこと」を理解しているか既有知を調べることからにしました。相手のことを理解することは、人と関わる上でもかかせないものねぇ。

Prior achievement:学習の到達レベル d=0.64

ジョン・ハッティ『学習に何が最も効果的か』

その子が今、どれだけ理解しているのかを活用して授業するのって、めちゃめちゃ、効果が高いじゃん!

昨年度使っていたプリントに手を加え、単元テストっぽいものをつくりました。これまでの2桁÷1桁のわり算に加え、今単元で学ぶ2桁÷2桁、3桁÷2桁、文章問題などのプレアセスメントテストです。このことについては、これまでブログにも、教育雑誌にも書いてきました。作るのちょっとめんどくさいんだけど、最初につくっておくと、単元の最後にも使えるし、それ以降、自分の教材として使えるので、何かと便利でオススメですよ。

実際に子どもたちには「ぜんぜんできなくてOKだからね。」と話しました。「なんせ、まだ学習してもいないテストなんだから。もしかしたら数問解けたらラッキーね。できねぇなぁ、わかんねぇなぁ、こんな勉強するのかぁって味わいながら解いてみてね。成績とか全く関係なくて、みんなが何を知っているかを教えてほしいんだ。問題で悩んだところには『うーん』って書いといてね。大丈夫、わからんとき脳みそはシナプスいきいきしてるんだから」と、調子のいいことを言ってやってもらいました。

驚くことに三分の一の子たちはすでに満点に近い。残りの子たちが、素直に未学習。そういう子たちっていいなと思いました。もちろん「記憶にございません!」しちゃっている子もいます。この一人ひとりの結果を元に、この単元の計画を立てていく材料にしました。こういう教室の事実にこれまで、見て見ぬふりしていたんだなって思う。これは教え手の都合。一人ひとりに焦点を当てようとすると、これまでの仕組みにいろいろガタがきていることが、すけて見えてきます。

このプレアセスメントテストは、実は今後もしつこく使っていくことになります。僕はここがミソだと思います。とまぁ、今、何を理解しているかを大それた調査をするよりも、簡単な自作プリントでテストしたわけです。

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