数学者の時間⑧ 3−1 ふりかえり前半 授業振り返り

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久々にやってしまった長時間授業

久しぶりに、やっちまいました。1コマ40分授業なのに、「共有の時間」を止められず1時間授業。それでも問題への決着つかず。次回の授業に持ち越しです。うまくいかないと思える授業ほど、ふりかえる価値が多いものですね。ぴえん。

一方長くなるのはどうしてかというと「身につけることが明確になっている」その分、良問もそれに関連してじっくりと考える問題となり、結果、1時間の密度の濃い時間となってしまいます。たまには、探究算数のように、子どもたちが隠れてさぼれる自由度の高い授業が恋しいかも。

パン焼き問題はミニレッスン「ふりかえり」にふさわしい問題だったのか?

学習者が自分の解法の振り返りをするには、一度、確実に解き終わらないとできません。そのためにも、この問題はすぐに解ける問題にしないとだめということ。かつ、多様な方法があること。

そもそも2枚のパンの片面を2分でしか焼けない昭和のトースターって、子どもの生活に身近ではなく、2年生にとっては実感が持ちにくいもの。どういう仕組みなのか、もっと丁寧に見せてあげるとよかったのかもしれません。

ふりかえりのスキル②「とけたきっかけは?」は、子どもたちはどこからが、「よし!いける」といったきっかけなのかが意識されていないことが分かりました。きっと、【使えそうなこと】の「ものをつかう作戦」ですでに解けそうと思っている様子。だからこそ、とけたきっかけを振り返るためにも、数学者ノートに思考をメモすることの価値が高まりますね。つながっているなー。

ふりかえり①〜③ミニレッスン

今回のミニレッスンは、家に帰っても「お札問題」をやっていた男の子の紹介から。家に帰ってまでふりかえって考え続けること、まるで数学者みたい!とその大切さを確認し、今回のミニレッスン「ふりかえり」の導入となりました。

ふりかえりをすることで、問題があっている間違っているだけではなく、深く問題を理解することができること。そのためにも、次の3つの技術は大切です。

  1. 数値ややり方の確認すること(結果のふりかえり)
  2. とけたきっかけをふりかえること(プロセスのふりかえり)
  3. 他のやり方がないかたしかめること(よりよい解法へのふりかえり)

今回はこの3つの技を使って、ふりかえりをしてねと伝え、さっそく「パン焼き問題」の確認を。

子どもたちからのアイディアには3つでてきました。

  • あたまで考える作戦
  • 考えてためす作戦
  • かわりのもの作戦。

ここで「おはじき」は使えるかな?と僕から提案。ものを使う作戦はとてもいい。思考が活性化されます。ここでしっかりと押さえておきたい作戦の一つ。そして、もので置き換えるって、その子の「抽象度」する力が試されたりします。この抽象性の獲得は算数数学ならではのものですね。

ものをつかう作戦でおはじきは適切だったのか?

このおはじきがくせ者。普段使いしていないので、今回おはつのアイテムでした。おはじきを並び替えたい!おはじきの磁石で遊びたい!子どもたちが続出。どうしようかな?と考えながら教室をぐるぐるして、今度改めておはじきを使って遊ぶ時間をとることを確認してあげました。それでも、まだ夢中になってやっている子は止められない何かがあると思い、そっとしておきました笑。

そもそもおはじきって、使い方によってはとても便利だけど、使い慣れていないとなかなか不便。おはじきは裏返しても同じ色で今回のパン焼き問題では、扱いにくいよね。今回はなにが適していたんだろう? 表が黃色で裏が白の数ブロックだとよかったな。

子どもたちの様子を見る限りでは、今回は数学者ノートへのメモが難しそうでした。僕はてっきり、パンをイラストで表す図作戦のが出るかと思ったけど、なかなかそういう発想はなくて、式で表そうとして、さらにこんがらがってしまっていました。今回を機に、モノを使う作戦を自分の思考ツールとして練習していけるといいです。

誰と学ぶのか?

今日は、先週と異なり問題に没入するまで、少し時間がかかりました。もっとていねいに「わかっていること」や「もとめること」を具体的にトースターをみたててて、やってみせて確認してあげると、すぐに動けたのかもしれません。

これまでの3時間、一人でやっていた子が「移動してもいいの?」とききに来ていました。チャレンジバイチョイス。きっとこれまでの一人で考える時間から、少し変えてみようと思ったのかもしれません。その点では、気軽に「いっしょにやろー」と声を出せる子はいいなぁと思います。一方、友だちと一緒に勉強をやる・考えることのよさはどうなのか。わいわい遊びに夢中にならず「集中して取り組める環境作り」の練習が必要ですね。クラスの様子をみていると、一緒に問題を解いているメンバーもゆるやかに入れ替わっているのが、オモシロいなと思います。そして変わらない女子3人組も。

途中、答えの確認をしに他の子のノートを見に行っている子。こういうのはズルくていい。友だち関係をするりと越えていってくれるよい見本となります。

個別カンファランスへ少しずつ

これまで、全体の問題への取り組み具合や一人ひとりの学習の様子に目を向けていたけれど、今回から、個別カンファランスに入る意識を持つようにしました。これまで起こっていたような対話が単発にならないように気をつけて入ってみました。すると見えてくる景色が変わりますね。特に「式の意味」は直接子どもに聞いてみないと分からないことが多いです。これからも、ていねいに聞くようにしていこうと思います。

1枚ならその半分の1分間で焼ける?

ワークタイムから共有の時間へ、クラス全体で切り替えの時間、空気感が変わるまでじっくりと待てるといいです。ものをいじっていると集中して、聴き取ることができないので、落ち着くまで待つ時間はやっぱり大切。前にでてきて話している子の説明を聞いていない子が案外多い。でもそれって、先生が発表している子に夢中になってしまっているから、そうなってしまっていることも。自分も気をつけようっと。

ある子が前に出てきて「式が書ける」と

2+2=4

2−1=1  1+1=6 答え6分

という式を説明してくれました。

「なんで、1がでるの?」これにが質問がでました。

「2枚の(パンを)両方とも焼くのは4分でしょ」と、2枚で2分なんだから、1枚しかはいっていないトースターはその半分で1分でパンを焼けることとなるそうです。なるほどー。時代だなぁ。こういった昭和のトースター使わないと分からないのか。1枚約のも2枚焼くのも2分なのよ。問題の条件がかわっちゃう。。。

昭和のトースターの残念な所を説明しつつ、「分かっていること」に戻って説明し直した方がいいとなと逡巡していました。それでも、その瞬間、授業は流れて行ってしまう。こういうことってあるあるだなぁ。「2まいのパンのかためん、それぞれ2分で焼けるって書いてあるんだから」って僕に助け船を出してくれた子がいました。改めて【分かっていること】にこのトースター機能の再確認。ここは子どものつまずき予想ができなかったところ。少し考えれば予想がついたことだったのに、鈍ってるかも。

数学的説明には失敗OK

今回はこれまで経験したことのなかった図を用いての説明が難しい問題。そのため、しんどそう。メモしづらく、おはじきも使いこなしづらい。改めて「今日の作戦って?」と「かわりのもの作戦」につなげて考え直そうと修正を試みました。すると、子どもから「本をつかう」のアイディアがでました。さっそく同じ絵本を3冊用意して、いざ!問題の説明へ。と思ったのですが、前に出てきて説明する子が、なんとそのうち1冊をトースターにしようとし、さらに混乱を招きかねない事態が!

こういった子どもの説明が洗練されていない時間は特に大切です。算数数学は正解した道のりをスッキリと説明しようとするから、みんな正解した認められないと算数嫌いになっていくからです。こういう試行錯誤を励まし、支えてあげられる先生にならないといけません! けれどもこのとき僕はすでに共有の時間予定の5分間を大幅に過ぎて焦る気持ちとのせめぎ合いでした。

「この絵本はトースターにもパンにもなるそうです。どお?」と投げかけ直すと、「えー!(わかりにくい)」と、却下となりました。このとき、教師の僕がいいわるいを即座に判断せずに、一度、子どもたちに投げかけてみることができて本当によかった。これは簡単なようで、難しい。時間に追われているときはなおさらだし、教師が行きたい授業の方向が明確にあるとそういう寄り道のような時間のかかる対話や子どもの気づきで作り上げていくといった授業づくりがしづらい。ギリギリセーフだったかな。

算数の説明って、自信があってもなくても(今回はあったみたいだけれど、まちがっていただけのこと)考え中のアイディアをもってきて、みんなで考え合う学習コミュニティが大切と、再確認。

この子は結局、最後までこだわりがあり「トースターって問題文にも書いてあるから」と、絵本トースターを捨象できずにいました。他の子達からはいらないじゃんって声があったので改めてきいてみても「いると思う」っていうから、使うことに付き合ってみました。

8分間で納得してしまっている

実際に、前にでてきて絵本をパンと見立てて、やってもらいました。

2+2=4  2+2=4 4+4=8

8分で焼けるという子が案外多くいました。2分を焼くために、4回くりかえして、8分間でパンを焼くやり方。

共有の時間が始まってから、15分がいっきに過ぎてしまい、このときすでに他のクラスはランドセル背負ってうちのクラスの前に集まっていました。あちゃー。クラスのわんぱく坊主が「もう放課後(遊び)の時間じゃね?」とあおってきます。

1枚を抜いて入れ替えてパンを焼くことでできる6分の解答がでてきません。どうしよう。答え8で納得してしまっている子が多くいました。なぜだろう? こういうときこそ、「ふりかえり」の価値が増すとき!次回は、同じ問題の続きを遣ろうと思います。はてはて、どうやったら、1枚を取り除いて焼くと便利だと気付かせることができるのだろうか。「お客さんにあつあつのパンを食べてもらうにはどうしたらいい?」と投げかけるのはどうだろう?

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