数学者の時間③ミニレッスン1−1「数学者の時間をやろう」

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さてアンケートや計画を立て、研究メンバーと情報交換もできたのでさっそく今年一発目の数学者の時間を取り組むことに。

おすすめの数学者ノート

まずは、「数学者ノート」の配布。これまでいろいろ使ってきたけど、一番いいのはダイソーで売っている100円のクロッキー帳。なにがいいかって、罫線がない!罫線からの自由なんです。思考が垂線に縛られずにすみます。

さっそく配布。表紙には「すうがくしゃノート」「名前」を書いて、ミニレッスン①プリントをのれん張り。

子どもたちはまだこのノートがこれから、自分の思考を支えてくれることになるとは思ってもいません。それがこれからの伸びしろでもあり、またいいなとも思うのです。

数学者の時間とは?

この時間は、数学者になる時間。子どもたちに数学者とは?尋ねてみると、「算数がとくいな人」だったり、多くの子どもたちは「よくわからない」と、身近ではないことを再確認。

数学者の時間は「すぐれた問題解決者」になる時間。そして、数学者は問題解決している人のこと。子どもたちは「まるで探偵しているみたい!」とわくわくしている様子でした。

この優れた問題解決って、実はいつもの算数でもやっていること。①問題を見つけ、②計画をして、③解決する。④ふりかえりをして、⑤共有する。

これまで取り組んできた探究自学ノートでは、それぞれの研究からまとめ新聞を作りました。その際、子どもたち同士、おうちの人からたくさんのファンレター(子どもたち全員にファンレターをくれる家の人も!コメントが温かく、僕がフィードバックの勉強になりました!)をもらったことを話題にしました。それも共有。実は、どの授業でもやっているってこと。

問題解決にはまず計画から

今日のイガ問を配布。いきなり問題を自分で見つけることはなかなかできません。ゆくゆくはそうなってほしいけれど。最初は、僕からとくとオモシロい!良問を配布してスタート。早速、数学者ノートを見開きに張り出します。

まずは問題をじっくり読むことから。「下の魔方陣には、1〜9の数字が入ります。たて、よこ、ナナメの和が15〜」と、全員で確認。その後、難しい言葉を確認。すると、「それぞれ?」「和?」の意味を確認しました。

問題を読んで解法の計画を立てます。計画がないのは無計画。すぐれた問題解決者は計画がみそ!【求めること】つまりこの問題のゴールと、【分かっていること】を確認。「残りのマスってどのこと?」みんなで指をさして「ここに数字をいれるんだね」と確認しました。

分かっていることをたずねてみると、「1〜9の数字を一つずついれる」「縦、横、ナナメのそれぞれの和が15ね」をすんなり。そして、【使えそうな作戦】を出し合いました。
・足し算作戦。
・15から引く引き算作戦。
・試す作戦。
・たしひきの筆算作戦。
・ものを使ってみる作戦
・暗算作戦。

ここではヒントとなる「7」の扱いが出てきませんでした。この辺りの見通しは、問題解決経験の蓄積がものをいうので、実際に問題に取り組んでから気付くまでそっとしておくことにしました。一方、「暗算でやってみる」って子には、間違えのパターンを明らかにするためにもメモしておいてね、と告げました。間違えた例も一つ解決に向けての前進です。ある子から「メモを吹き出しで書いてもいい?」と質問がありました。自学ノートでも練習していたこと、さっそく活かそうとしてくれていいなと思います。もちろん、OK。今後、ミニレッスンで「うーん」「あぁ!」のメモをとる練習もする予定のため、さらりと済ませました。もし、数学者ノートが見開き2ページでたりなくなったらおかわりどうぞ!と次のページをじゃんじゃん進むように。

最後に、学び方のこと。いつものように、一人で静かに考えてもいいし、友達と一緒に解いてもいいことを確認。解決の時間は10分ぐらいでやってみようと投げかけました。でも、実はこれがなかなか思うようにいかなくて。。。2年生では30分ぐらいあってもいいほどでした。

問題へ取り組む勢い

僕は数学者の時間に取り組んでいて、好きな時間の一つがこの「問題へとりかかる瞬間」です。教室内の空気が一気に変わり、わっと集中する子や急にふらふらして友達と話しに行く子、なにか解決に向けて勢いが生まれるこの時間がたまらなく好きです。

教室を見回してみると友だち2〜3人でやる子は3分の2ぐらい。一人でやる子もちらほらと。引っ張られないでいいなと思いました。今日ははじめての数学者の時間。個別に支援に入ると言うよりは、全員が熱中しているかをやんわりと見回りました。しばらくすると「でたー!」と解けた喜びの声が聞こえてきました。すかさずぼくは「気のせいじゃないの?」とすかします。子ども同士答えをみあっていると、「答えが一つじゃない!」って気付いたようです。

子どもたちはやはりプリントの3×3のマスに答えを書いては消しをやりがちでした。やっぱり、書きたくなるのはしかたなし。けれども、それだと「解いた道筋」が残らない。すかさず、できないパターンもメモしておいてね、と何度か確認しながら教室をまわることになりました。これは問題の提示の仕方を工夫すればなんとかなりそうですね。

けれども一方で、子どもたちの中にはまだ「系統的に試してみる」作戦がないことも分かります。何か問題解決に当たりをつけるときには、順に一つずつ丁寧に追っていく方法がかかせません。これからのミニレッスンでも扱う内容なので、そのときの材料として今回のケースもとっておこうと思いました。

そろそろ時間だけどぉ〜と告げると「まだまだ(やる)〜!」というので、こちらが説明に時間がかかってしまったので、今日は共有の時間を無しにして、のこり10分間じっくり問題に取り組むことにしました。こういう柔軟な時間の使い方もワークショップ授業のよさでもあるなぁと、自分の時間管理の甘さをたなにあげて思うのです。

「この問題は家に持ち帰ってできませんから!」と高らかに僕が告げると、「えー(家でもやりたいー)!)」との反発の声が。そうです。少し授業で安定してきてからでないと、家で解いても深まらないのでしばらくは学校でクラスの中で試行錯誤を一緒にしていこうと思っています。

最後に、振り返りを一言書いて、提出して終わり。そこには、「くやしかった」「さいごギリギリでとけてうれしい」などなど。いいなあ。考えるのがめんどくさい!ってアンケートに書いていた子ほど、熱烈な参加者になっていました。

考える算数の世界へ一歩踏み出しました。今後、定期的に続けていこうと思います。

あー、楽しかった。

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