今期のLAFT算数・数学では『教科書では学べない数学的思考』をブッククラブしている。
僕はこの本でブッククラブするのはたぶん4回目となるが、繰り返し読み返すことで少しずつ自分の中に数学的思考への理解が深まっている実感がわいている。
一度、読んだだけではわからない程度の読解力のため、繰り返し仲間と読み合うことで少しずつその全容がみえてくる感覚がつかめてきた。
ここにも、いくつかブッククラブ用のメモから考えたことをまとめてみる。興味があったらぜひこの本を手にとって読んでほしい。こういう本はきっかけがないとなかなか手に取れない本かもしれないから。
「数学者の時間」で大事にしたいことは、「誰もが数学的に考えることができる」ということ。そしてこの本の1章にこそ、人はだれもが数学的に考えることができる手順が示されている。その中でも、大切な要素が挙げられる。
最も重要で、覚えて置くべき教訓は「行き詰まり」は大切な状態であり、思考を向上するうえにおいて欠かせない過程であるということです。
『教科書では学べない数学的思考』Pⅱ
これがおもしろい。算数・数学はできることを目指しているはずにもかかわらず「行き詰まり」、スタックすることこそが重要だということ。脳科学的にもできないほうが脳への刺激が豊かだと何かの本でも読んだ記憶もあるが、できないことに焦点を向けることはもっとポジティブにとらえられるといい。そんな算数・数学になるとほんといい。
「わからない〜!」「できない〜!」という経験は誰にでもあることだ。これらの経験から、いかに気づきや数学的思考に変えていくかがこの本に見事示されている。
なぜ、行き詰まりが大切なのか。
それはよく考えるからだ。すぐに答えが得られる問題よりも、なかなか答えが得られないものの方から人は多くを学べるもの。これは人生もしかり。
「うーん」とうねったままになっても「これは学べるチャンスだ」と学習者が捉えている限り、「うーん」と考えることはよいことでしかない。このあたりは、教師にとっても必要な算数・数学観のパラダイム転換だ。
悩み悩んだ問題解決のプロセスはノートに記録される。そのノートを読み返すと、最初の試みが教科書に書いてあるような解法になる事は滅多にない。
人は回り道からよく学ぶ。
その回り道を学びにいかに昇華するのか。そのための数学的思考はつかえるのではないだろうか。
