「ラーニングコンパス数学2023」を読み始めた①

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OECDのラーニングコンパス数学を読み始めた。日本語版はないが、ここ数年、驚くほどの翻訳機能が高まっているので、今までの苦労がビックリするほど負荷がさがって読めるようになってきた。DeepL様には大変おせわになっていて感謝してしきれないから、年間会員となってしまっている。

THE FUTURE OF EDUCATION AND SKILLS OECD Learning Compass for Mathematics

https://www.oecd.org/education/2030/OECD-Learning-Compass-for-Mathematics-2023-13-Oct.pdf

今、世界的に算数・数学は何を問題ととらえ、どこに向かおうとしているのか。気になっていたので、じっくりと読むことにした。40ページ程度のものなので、なんとかなりそう。今回はそのサマリーと読書メモをいくつか抜粋。

OECDの「ラーニング・コンパス2030」は、生徒の主体性を重視し、数学教育のカリキュラムを現実世界の問題解決に重点を置いて、再設計することを提案している。これは国際的な教育改革の一環として、未来志向の教育を目指すものである。

OECD Learning Compass for Mathematics(P.4~)

この現実世界とのつながる問題解決という視点は、これからの算数数学において、とくに大事にしていきたいところ。

OECDのE2030プロジェクトは教育の役割を再定義し、単なる職業準備以上のものとしている。学習を以下の要素のような多層的なシステムとして捉えている。

・コンピテンシー(知識、技能、態度、価値観-競合する概念ではなく、相互依存的に育成されるべきもの)

・コア・ファンデーション(デジタルリテラシーやデータリテラシーを構築するための、読み書きや計算能力を含む認知的基盤)

・変革的コンピテンシー(新たな価値の創造、緊張とジレンマの調整、責任の取り方)

・予測、行動、ふりかえりのサイクル(Anticipation-Action-Reflection (AAR) cycle)

特に数学教育では、21世紀の経済、政治、社会生活に不可欠な数学的思考と推論を強化することが重視されており、AIなどの進展における数学の役割も強調されている。

1. Education 2030: a shared vision(P.4~)

このあたりはラーニングコンパス2030に詳しいかな。

教育が単に社会で働くための準備教育ではないというところが首がもげるほど首肯した。そして、2019年あたりにラーニングコンパス2030のこの多層的なビジョンにシンパシーを感じていた。「責任ある市民」となるために必要な知識、技能、態度、価値観を身につける。人生の主人公となる「ねっこ」を育てていくのだ。

社会の急激な変化に伴い、将来の労働市場はオートメーション化と新技術により変貌し、労働者にはこれまでにない数学的能力が求められる。教育は、フォーマル(学校や訓練機関によって提供される)、ノンフォーマルコミュニティ・グループや組織によって提供される)、インフォーマル(友人、家族、職場の同僚との交流を通じて経験するな学習を通じてこれらのスキルを育成する必要がある。

デジタル化の進歩は日常生活にも影響を及ぼし、環境問題や人口動態の課題に対する数学的リテラシーの重要性が高まっている。これらの変化により、数学教育の再設計と生徒のスキル開発の必要性がいわれる。

2.Need for new solutions in a rapidly changing world(P.5~)

学習を学校にのみ閉じ込めておかない視点はその通りだと思う。実際に教師教育は学校の中にのみ存在しない。僕を育ててくれたのは、職場であり、職場以外であったから。

具体的にどんな数学が求められていて、一人ひとりの人生をどう豊かにしていくのか、気になるところ。先の3章「知識」は読み応えがありそうだ。

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