ヒラメキの授業

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タングラムのおもしろさの一つに「ヒラメキ」があります。その特徴は

  • すぐにできそう!でも、なかなか解けない(しかも答えは単純だった笑)。
  • そのやり方が上手くいかないと分かっていても,なかなかそこから抜け出せない(そんな自分をいやというほど知る)。
  • 手を動かしていると、正解が突然ひらめく。

このひらめきに関しては、夏の校内研修で紹介されていた、鈴木宏昭『私たちはどう学んでいるのか』(ちくまプリマー新書2022)の第5章に、ひらめき(洞察による認知的変化)について記述があります。

“ひらめきは突然訪れるかのように語られることが多い。しかしひらめきは練習による変化、発達による変化と同じ、つまり多様で冗長な認知リソースとその間の競合による揺らぎが、それが実行される環境と一体となり創発される。そしてその過程の大半は無意識的に進む。だから、ひらめいたときの驚きは、実は自分の無意識的な心の働きに対してのものなのだ。

『私たちはどう学んでいるのか』P.137” 

つまり、タングラムのような単純な問題がとけないのは、私たちの中にキョーレツな思い込みが存在するからであって、その思い込みが頭の目隠しとして機能してしまう。

しかし、その思い込みは思考の枠組みとして、日々の生活の中では考える認知的負荷を下げてくれる役割もあります。悲しい場面で相手の目に涙を見つけたとき、目薬をさしたのか、目にゴミがはいったのかなどと、わざわざ考え直さなないでしょ。

思い込みは問題解決場面においては制約要件として、はたらいてしまうことがこのタングラムからわかってきます。「この四角の角には□を使いたい。こっちの三角はきっと大きい△を使うにちがいない」といったような思い込みが、正答の邪魔をしてしまうのです。

実際に子どもからは「すごい思い込みをしていてできない問題もあったけれど、とけたらこういうことかと納得した」と感想がありました。

ここから抜け出るためには、自分の思い込みを認知し、様々な配置のパターンをためすことでヒントをつかめるようになります。さらに多様性の高い試行錯誤の末、突然、ひらめきに至るのです。

そこで、授業では「ひらめきやすい思考」「だれも思い込みがある」の二つの数学的に考えるミニレッスンを用意しました。最初2時間程度を予定したけれど、子どもたちの熱中、教材のおもしろさに感化され、結果、以下のようになりました。

  •  1時間目・タングラムを知る。全員で数問を解いてみる。
  • 2・3時間目・ミニレッスン:ひらめきをうむ・クラス全員で協力して全ての問題を達成する(2時間目:図形型問題・3時間目:文字型問題)
  • 4時間目・ミニレッスン:思い込みをなくす・タングラム問題をつくる。5時間目・友だち問題を解いて楽しむ祝福タイム。

つづく

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