たった一人の熱烈なファンが探究を支えてくれる

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夏休みに入りました。この夏、本当に自分がやりたい研究をやってみようとはたまた全国の先生達と「探究自学ノート・シーズン3(TQJs3)」で、大人の探究自学ノートを始めました。僕は「ゾーンディフェンスの研究」です。

TQJシーズン1で、探究自学ノートを深めていくためにはその学習内容への専門性が欠かせないことを議論してきました。教科への専門性があればこそ、ネタ教材を入り口により深いところへ学びをガイドすることができるはずと。

TQJsシーズン2では、探究自学ノートを進めていくには、遊び心に併せて探究のプログラムデザインを研究しました。これまでわかっていたようでわかりにくかった逆さまデザイン。探究を学習者に丸投げでは学習者の個々の能力に任せすぎてしまい深まる人とそうなれない人との如実な差がでてしまう。そこを乗り越えるにはやっぱり、探究の明確な見通しが必要で、専門性に加えて何をパフォーマンス課題にするのかをゲーム化したりして考え合ってきました。これはほんとオモシロかった。

そして、TQJシーズン3。今回のテーマは大人が学ぶこと、そして学びをガイドするヒミツとは? つまり学習のカンファランスについて。探究するにはその分野の専門性やプログラムデザインだけでは動きません。振り返ってみると探究を進めてくるときそこには、探究する人を一緒に「おもしろがる」人がいました。けれども、なんでもかんでも誰の学びも「おもしろがる」ことはできません。

僕は今、誰かの学びへ興味をもつことに大きな興味があります。今シーズンを通して(10月まで2週に1回のペースで学習会・その間のブッククラブと大人の自学ノート)、技術だけではない、人として「おもしろがる」要素を明らかにしていけたらいいなと思うのです。

シーズン3の2回目のオンライン・ミーティングで「子どもの頃に夢中になったわくわく原体験」について語り合いました。グループからでてきた意見の中でハッとさせられたことがありました。脳内クリティカルヒット!(毎回、こういった気づきがあるのがこのTQJのおもしろいところ。1回目はデジタルにはない手書きノートの3つの良さなんかは、Evernote生活ずっぽしの僕は忘れたくないことの一つです)

それは、「探究には仲間がいる」ということ。

僕は小学生の頃、友人のことをモチーフにした「青春のゆうじくん」というギャグマンガを描いていました。ゆうじくんというのは、親友のゆうじくんです。彼とは今でも、二人で離島にキャンプしに行く仲です。学校であったおこられた出来事や当時のCMをモチーフにて、おもしろおかしいギャグマンガです。最初はノートの切れ端に。でも、ゆうじくんがめちゃめちゃ喜んでくれるので、スケッチブックにもストーリーマンガを描くようになりました。

「早く次がよみたい」と、なんども催促してくれるので家に帰っては夢中になって描いたのを覚えています。できあがった作品をゆうじくんに読んでもらっているときのわくわく感。クスって笑ってくれるうれしさ。たった一人だけだったけど、まぎれもないファン1号でした。僕はゆうじくんが僕のマンガを喜んでくれるのを本当に楽しみにしていました。そして、その頃の僕の将来の夢はマンガ家でした。

学習者の探究を支えてくれることってなんだろう? 自分の小学校時代のわくわくしていたことを掘り起こしたとき、このファンになってもらえた体験があることに気がつきました。そうなんです。探究するを支えてくれるのは、面白がってくれるファンがいることなんです。そして、きっとだれもがその原体験をもっているのだと思うのです。

ごくまれに、誰からも評価されずともひとりコツコツと山に入り蝶を集めたり、自分だけの石を集めたりする人もいます。本当に魅了される世界を見つけた人は強いですね。多くの人は自分が何に興味があって、その対象のもつ世界の深さも知りません。そこを一緒に「おもしろがってくれる人」がいることこそ、探究を推進する力となるのではないでしょうか。そう、探究心に火をつける人が必要だったんです。きっと他者と一緒によろこんでいた探究が、少しずつ自分の探究へと昇華されていくのでしょう。

僕はカンファランスし続けることは、専門性やカリキュラムデザインだけではないことに気がつきました。もしかしたら、面白がってくれる人がいることが、それよりも強力なことなのかもしれません。ファンを見つけること。ファンになること。自分の探究自学ノートのファンになってもらえること。こういったことが、僕の小学校時代にぎゅっとつまっていたんだと分かってきました。これはきっとみんなにあることだと思います。

たった一人でいいんです。再生回数が何百万回である不特定多数の人ではない、自分にとって特別なファンがいてくれる、自分の好きなことを応援してくれている、楽しみに待っていてくれる、ここにファンの持つパワーがあるはずです。

そして、私たち大人はなんでもかんでもファンに決してなれるわけではありません。だからこそ、それをスキルでカバーできないか考えています。キャシー・タバナー他著・吉田新一郎訳『好奇心のパワー:コミュニケーションが変わる』はコミュニケーションの本です。しかし、これはカンファランスの本だと僕は理解しています。ここには、相手に好奇心を発揮するための3つのスキルがあります。

①「今、ここ」に集中し、相手に焦点を合わせる。
②聴き方を選択する。
③相手への興味関心を示すオープンな質問をする。

しばらくは、TQJシーズン3のメンバーとこの3つのスキルを使って、お互いの探究自学ノートのよき理解者となり、ファンになれるように練習していこうと思います。グループ内ファン体験。それがそのまま、教室・職員室で、子どもの興味関心に興味をもてる資質につながっていけるんだと思っています。それと同時に、だれが何を探究しているのかを可視化して、子ども同士の興味関心をつなげてあげればいいんだと。先生がマッチングアプリ先生になればいいんです!あは!まいっちんぐ。

一方、自分に感心がありすぎる人(僕はこの傾向が強いね)、人との比較や優劣でものごとをみてしまいがちな人やそういうタイミングにある人は、素直にファン似なれないんじゃないかなと思っています。かといって、評価されたり上から目線で面白がられてもなんだかしゃくにさわるし。このファンになる事って、もっと純粋に他者や対象をおもしろいって思える「仲間」感覚が必要なのではないかな。小学校の友達関係は、こういった仲間感覚があったなぁ。いつもなにか開かれているマインドをもっていたのが子ども時代だったのかもしれません。

さぁ、ファンになっちゃうぞー!?

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