失敗をしない限り、人はクリエイティブにはなれない

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失敗をしない限り、人はクリエイティブにはなれない

コーネル大学の数学者であるスティーブ・ストロガッツの言葉です。

何よりもモガキながら進むことこそ重要なんですね。完璧な自分、専門家という自分をいかに手放し、知らないということの好奇心へとつなぐことができるか。

特に算数の授業で起こりがちなこと。「この問題はわからない」「できない」「答えられない」といった恐怖心は、何百万人の子どもたちに共通している感覚なはず。また、自分よりも他の子がより早く問題を解くことで「自分はできない」と思ってしまいがち。これらはその後の数学嫌いへと、しつこくつきまとってくる算数の呪いですね。

算数・数学が苦手なのは、決してその子になにか問題や数学脳の欠損があるわけではありません。そもそも数学脳などはありません。もちろんスピードの問題ではありません。これは個別最適化したカリキュラムを個別のペースで隠したところで、このマインドセットは解決されるものでもなさそうです。

失敗してもいいし、ミスしてもいい。そしてその失敗からこそ、学べることができる、と勇気づけてあげられること。僕は、このへんは思考の習慣だと考えています。一回っきりの教師からの「説諭」でも難しい。日々の授業や生活の中で、くりかえし体験し、その言葉への理解と体験が重なるところまで、日々反復連打し続けることだと思う。

その反復連打の中で「わからない自分がはずかしいと感じている」と正直に言えるようになってほしいし、自分もそうでありたい。その勇気はすごいことだと思う。「わからない。もっと知りたい」と、できない自分を受け入れること。そして、「あ、まちがえた。これはおもしろい!」「なんとかなるさ、これは挑戦だ」と思えること。こういうマインドセットの文化を育てていきたい。

そして、どうして、ここまで失敗の価値が語れるのに、失敗をいかして、もがくことがなかなかできないのか? 僕の中で一つ大きなブレイクスルーがありました。それは、知識を増やそうとする収集心が、今ある手持ちの知識で考えようともがき続けることを阻害してしまっている。そこに気付きました。

ケーキ分割問題という数学界では名の知れた有名な問題があります。ケーキや土地のような連続した物体を、二人以上の間で均等に分けて、それぞれの当事者が満足するように分けることができるか、という問題。これには多様の解法があると同時に、何年間も数学者を魅了し続ける問題でもあるそうです。

そして、このケーキ分割問題を、2人の若いコンピュータ科学者が劇的に解決してしまいました。この2人には、数学者が持っていたような豊富な数学の知識は持っていませんでした。そうなんです。「知らないこと」が、これまでの常識に縛られずに創造的に問題解決にアプローチすることができたのです。

「私たちの成功は、他の人よりもそのトピックについての知識が少なかったことが原因であり、それによって自分たちは違った考え方をすることができた」

と振り返っています。

僕は、この二人はきっともがいたに違いないと思っています。安易に、知識を集めようとせずに、今ある手持ちの知識を組み合わせ、統合させようと、常にぐるぐる考え続けていたんだと思います。

僕に必要なことはここだ!とピンときました。

何か分からないことがあれば、すぐに知識を増やそうとして対応してしまう自分がいます。でもそれって、「知っている」程度の浅いところでしかない。その知識は応用する、統合する、創造するところまで引き上げられていない。くんずほぐれず、今知っている知識でサバイブしようと考えることにコミットすること。これがもがく事なんだと思います。

失敗することはいいことだ。これは誰にでも言えます。一歩だけ推し進めて、失敗してもがき続けるには、「余計な知識を知ろうとするクセを手放せ、今ある知識でもがいてみせろ」。知識を収集することに注力することから解法された気がしました。知識を統合することにこそ、時間を割く必要があると思います。しばらくは、考えることにコミットしてみます。

ちなみに、僕が好きになってしまった数学者の一人、スティーブ・ストロガッツさん。TEDトークにも出ています。なぜ、魚や鳥がシンクロするのか数学的に解明しようとしています。まぁ、それよりも彼が素晴らしいのは、誰もが共通してもっている「微分・積分なんかオトナになってなんの役に立つのか!?」という怒りにも似た問いへ明快に答えてくれる良書があることです。ぜひ!

TED「驚くべきシンクロ現象」

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