第1章「脳の最良の学習方法」「Upgrade Your Teaching Understanding by Design Meets Neuroscience」

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冬休みばんざーい。ゆっくりと本を読める時間がとれるのがなによりもありがたいです。

さてさて、「Upgrade Your Teaching Understanding by Design Meets Neuroscience」の第1章「脳の最良の学習方法」についてふりかえり。

この章は脳みそがどう動いているか?って話。良くも悪くも脳みそは変化しています。それを脳の可塑性というけれど。目や耳や音や味や触覚など私たちはたくさんの情報にさらされています。けれどもそれが脳みそに入ってくるのはわずか1%だけ! なぜなら脳みそは酸素や栄養素をぜんぜん保存できないから(それでも栄養素と酸素の20%を消費!)、超節約家のけちんぼ。だからこそ、サバイバルにいかせそうな情報だけを取り入れています。それが、パターン!

脳はこのパターンの変化にとっても敏感です。新しいことやこれまでと異なること、予想していなかったことや変化していることなど、これまでのほほんと生活してこれたことに、急遽変化が起こることに大きく反応してしまいます。

私たちの脳みそは、すでにインプットされているパターンに新しい情報を関連付けて知識を増やしていきます。すでにあるものに付け加えることで、脳みそを効率的に動かそうとするからです。まあ!なんてケチなんでしょ!

つまり、脳はパターンを通して理解すると脳にとってもやさしいってこと。けど、それだけだと脳は活性化しません。同じ事の繰り返しで退屈で飽きてきてしまうので、必要な情報として受け付けてくれなくなってしまいます。だから、脳には刺激が必要なんですよね。

脳が活性化するときは、脳はこれまでにあるパターンを使って、この先に何がおこりそうなのか「予想」しているとき。その予想があっていれば、大喜びをしてドーパミン(やる気を高める神経伝達物質)をどぱどぱ出して、大喜びして、さらに強化されていきます。これを繰り返すことで、より正確な予想ができるようになってきます。そして、これがまさに学習に応用できるってことです。しない手はありませんね。

”パターンを予想することによって導かれるこの予測能力は、成功するリテラシー、計算能力、受験、適切な社会的感情的行動、および理解の基盤です。予測の成功は、脳の最高の問題解決戦略の1つです。”

つまり、すでにもっているパターン、ここでは既有知識に結びつけて、新しい知識が獲得されていくため、このすでにもっている知識を使わない手はないってことです。これは、エビデンス本『学習に何がもっとも効果的か』にも繰り返し出てくる話です。

余談ですが、この知識の積み重ねがないと、一体なにに関連づけて教育していくのかわからない。だからこそ、そこまで何を身につけているのかを明確にする6年間の見通しや年間計画が大切になってくるってことなんですね。我、納得。

ちなみに、暗記は最も学習の転移がきかない、限られた文脈にだけしか効果がないことのもっとも悪い例としてあげられていました。短期記憶にいれられた新出漢字も、それが必要な文脈や豊かな体験がないと、長期記憶に送られないどころか、すっかり消去されてしまうということです。おそろしやー。

さて、この脳みそを効果的に使ったある有名な方法があります。そう何か、われわれは体験してきていることです。そう、あの不朽の名作で全世界で最もうれたあのゲーム「○ー○ー○○○ブラザーズ」です。

この章では「ビデオゲームモデル」を例に、生徒の学習を強化できると解いています。それは以下の4つ。

(1)望ましい目標の確立
(2)達成可能な課題の提供
(3)特定のフィードバックによる継続的な評価の提供
(4)最終目標に至るまでの進捗と達成の確認

マリオにあてはめると(あ、いっちゃった!)、
① ピーチ姫を助けるために(明確な目標)
② 繰り返し練習すればクリアできるコースで(達成可能な課題)
③ Bダッシュで穴をこえれば進めるし、落ちれば死んじゃう即座のフィードバックがあって(形成的な評価)
④ 今、8ー2まできた!と、どこまで進んでいるかが分かる仕組み(達成の確認)

この④のコースをクリアして、今8の2のBダッシュで越えなければいけない大きな穴のところまで来た!ってときに、それを越えたときに、ドーパミンをどぱどぱでるそうです。そう、少年ナオトはどぱどぱ出していたんですね。はずかしい。

”学習目標、その達成の証拠、および特定の目標が自分にどのように関係しているかについて明確に理解している場合、学生は関与して努力する可能性が高くなります。言い換えれば、目標は、脳が注意を集中し、エネルギー資源を適用し、課題が生じたときに持続するように動機付けるため、すべての学習にとって重要な要素です。”

ふむ。その通りです。ゲームに気付かずしばられていた仕組みがわかってきました。そこで、気になりなり、あの頃のゲームってそんなに考えられて作り込まれていたのでしょうか? 急遽気になったら、止まらない。この本を読んでみてすごい納得。

実なぜ少年ナオトがマリオやドラクエに夢中になってしまったのか? 実は巧妙にそうなるようにデザインされ、誘われていたことを今知る衝撃! マリオには明確な目標は設定されておらず(ピーチ姫を助けるの説明書を読んで後付けで知る)、右に進みたくなるようにデザインされていたってこと。あぁ、この本のアイディアも上手に使いながら、学習を予想とそれに反することをリズミカルにデザインしていけるようにしたいものです。

あー、楽しかった。

明日の第2章へと続く。

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