概念メガネで世界を見よう

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『一人ひとりをいかす評価』を読み始めたら、「知識・理解・スキル」という意味がわからなくて、ここ1週間ずっと「うーん」状態。

学習ユニット(単元:海外は日本のように2週間程度の単元学習ではなく6週間と基本的に長い)をつくるときに「知識・理解・スキル」といった学習の視点があります。ここでいう「知識」とは歴史の年号を暗記したり、円や二等辺三角形の定義の意味を知ったりする事実的知識のこと。「スキル」といったときには、実験の精緻な実行スキルや、数学的思考といった学び方などの思考スキルも入る。

ではここでいう「理解」とは? これまでの日本の教育事情でいえば、知識、技能、表現、思考、態度でいえば、態度面がぬけている。今で言えば、学びに向かう人間性でしょうか。態度が理解ではないことはあきらか。色々読み進めたり、『一人ひとりをいかす教え方』を引っ張り出しては再読してみると、どうもこれは概念のことをいっているらしい。

概念。これまでの学校現場であまり聞き慣れない言葉だと思う。以前から、概念という教育用語は知っていたけど、授業その中ではストンと自分の中に落ちていませんでした。ここはいい機会だと思い、あらためて概念について学習をしてみました。おととい、久々にリエコ先輩と話をしたとき、この本(以前からの積ん読本)を読めばと改めて進められた。国際バカロレアに関連する情報は、ほんとよく練られているなあ。

すると、概念にもいろいろ種類があって、ミクロ概念とマクロ概念との二つありました。

ミクロ概念とは、教科特有のもので、例えば算数ならばその算数でしか学べない教科独特のもの。角の概念とか円の概念とか。一方、マクロ概念とは、そのミクロ概念を包括するもっと上位な概念。各教科を串刺しながら使われるものだとわかりました。

概念例

対立、信念や価値、相互依存、自由、アイデンティティ、関係性、変化、パースペクティブ、力、組織、構造と機能、デザイン、英雄、権力、複雑さ、パラドックス、相互作用、変態、パターン、原因、変革無作為、影響、バランス、改革、天才?、改革、実用的な、創造性など。

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今まで、円も概念でしょ!って思ってたのと、変化とかパターンといった言葉も概念じゃん!ってごっちゃになっていたのが、すーっとすっきりと仕分けすることができました。その教科特有の見方考え方が、教科特有のミクロ概念であり、世の中で一般化される変化や関係性などといった、より高次の概念がマクロ概念。ここでまずは一歩すっきり。

・学力がいつまでも上がらないのは、浅い知識で終わっていて、深い知識(理解)にまで磨かれていないから。
・概念レンズを使うと、深いレベルで情報処理するため長く記憶する。
・個人的な意味をもうけ、感情的に学習者にやる気をもたらす。

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教育者にむけてのパラダイムシフト

トピックや事実は支援ツール。概念、一般化、そして原則を帰納的に教えること。
①.帰納的に教えることは、生徒が概念、原則、そして一般化を理解するように導かれる。
・構成主義と探究指導が概念に基づく教育。・教師は学生がこのブリッジングスキルを学ぶのを手助けすること。
・指導の前に、焦点を当てている概念学生を導いている考えを明確に。

②.トピックや事実を最終目的地ではなく支援ツールとして使用することで、学術および教育の基準が本当に高まります。
・その学習は最終的にはより深い概念的理解に焦点を当てることになり、それが事実研究に関連性と目的を与えます。
・あまりにも多くの教師は、まだ彼らの仕事を主に事実とスキルを教えるものとして見ています。

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ブルーム理論改訂での大事な側面

①内容のより深い理解 – 
・生徒が概念や原則を理解していないと、彼らの知識は表面的でつかの間のものになるでしょう。

②知識の移転 – 
・知識が事実から概念レベルに外挿されたとき、それは時間を経てそして文化や状況を越えて移されることができる。これは理解を深めることを示すだけでなく、個人がパターンやつながりを見たり、新しい知識を生み出したりすることを可能にします。

③概念的マインドの開発と形成
・概念マインドは美しいものです。 それは、不協和音の調和、洞察のオーケストレーター、そしてデザインのウェブマスターです。 しかし、伝統的なカリキュラムと指導モデルはそれに値する著しく与えることができません。

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ここから大事なこと。この概念を学習者が時間をかけて理解していかないと、いつまでたっても、小テストや単元テストといった選択式テストや年号や漢字の暗記といった、浅い知識で終わってしまう。こころより高めていくためにも深い知識として概念を獲得していくために、浅い知識を道具的に使っていく、つまり概念を理解するためのツールとして学習内容を使っていくことが重要と解かれていました。

この概念を押さえないと、学習はいつまでたっても浅い知識の繰り返し学習におわってしまう。学びを深めていくためにも、「変化やパターン、関係性」などといった概念メガネで、自分の学びをみることで、今やっている学習内容を帰納的に概念とひもづけてみること。他の場面においても学習を使おうとすること。それによって、学習が転移し、生きた知識として活用されるようになっていきます。ここはほんとに大事なこと。

これまで自分の授業をふりかえってみると、「すでにやってきてたよなぁ。この単元での目標を常に意識できるようにしていたし〜」とこれまでと大して変わらないことだったのかもしれない。でも、ちゃんと概念メガネとして、言語化して、子どもたち渡して、そこを起点に常に概念に立ち返って学習を展開していたかというかと、そこはあやふやだったなぁ。今後、この辺の理解がすすんできたので、学びを他の場面でも活用していけるよう、学習の転移を促進するよう、概念メガネを使っていこうと声かけてこう。

これで、今のサークル対話をコンテンツやスキルの集大成としてで終わらせることをせずに、概念として来年度以降へわたせていける足がかり案ができたかな。今後の授業作りに関しても、目標を明確にするとき、そこで学ぶ概念を2つ程度はかけあわせながら、学習計画を作っていこう。あぁ!すっきり!ヘウレーカ!

下の表は、今の知識構造の理解。『Concept-Based Curriculum and Instruction for the Thinking Classroom』『学習、教育、および評価のための分類法ブルーム理論(2001)』『コンピテンシーベースのカリキュラムの光と影』などを参考にしてまとめてみました。今後、明日あたりに届く『セオリー・オブ・ナレッジ 世界が認めた知の理論』や『TOK(知の理論)を解読する 教科を超えた知識の探究』を読んで、さらに肉付けしていきたいと思う。

読み進めていくと、今の日本の教育用語と対応しているところもあるし、そもそも意味の使われ方が違うものも多い。自分なりまとめて見直して知識の作りなおしをしないとやっぱりわからない。ということで、絵に描いてみました。ちなみにこの顔は本校の算数テキストに繰り返し出てくる昭和なイラストを使わせてもらいました。

Fact(事実)は学習内容。Topic(テーマ)は単元といったところでしょうか。さらに上のConcept (概念)は、その教科特有の見方・考え方のマクロ概念。そして、他教科を包括するマクロ概念とが。さらに一般化原則へと進むけど、このことはまたもう少し研究しないとまだスッキリしてないところ。この先のお楽しみ。

ふー。これだ。一つのことを学び、進めると、ついつい回り道が始まってしまう。そもそも評価の原稿を書くために本を読み始めていたのに、一人ひとりの個別指導、そのための教えることを明確化すること、学習目的の知識・理解・スキル、概念のこと、そして知識の構造のことへとそれていってしまった。けど、この回り道は決して無駄にはならなさそうだし、なによりもこういうことは楽しいし、このスッキリ感がまた学びへのモチベーションとなるんでしょう。

専門家の知識が重要なアイデアや概念に基づいて構成されているという事実は、カリキュラムもまた概念の理解につながるように構成されるべきであることを示唆しています

『人の学び方:脳、心、経験、そして学校』(2000 p.42)、John Bransford、Ann Brown、およびRodney Cocking

今後、子どもたちや授業っくりの角度づけとして、「概念」を繰り返し使おうと思う。しばらくはコンセプトベースティーチャーですから笑!はい。

この図のこの辺まちがってるよ!とか、もっとこうするといいよ!とかこんな本もいいよ!とかアドバイスあったら教えてくださーい!

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