読むとは知識をつくる作業で、自分なりの解釈をつくること 『一人ひとりをいかす評価』1章 概要

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『一人ひとりをいかす評価』を読み始めて、ようやくここで腑に落ちたことが。海外の実践翻訳書を読んでいてこれまでなんども混乱してきました。それは、単語の意味の使われ方にちがいがあるからです。日本の教育場面での使われている教育用語と、海外の教育場面で使われている教育用語、さらには、自分の教員経験からくる教育用語の意味のちがいからくる混乱でした。

例えば、「学習を促し支援する環境」と、「学習環境」はどうちがうのか? それともいっしょなのか? 「レディネス」と「学習履歴」って、同じことを単元前のテストか? はたまた学習中のことなのか?学習不足の自分には、いくつか重複しているような教育用語が連発してしまいます。そこに差分があることはわかっていましたが、自分なりにちゃんと解釈していかないと、どこか、こう宙にういたままの話でしかなく、自分の中に腹落ちしない感覚をずっともっていました。

そこで、「あ!ひらめいちゃった!」と、頭の中に、一休さんがおりてきました。まぁ、昨日ぼうず頭に借り上げたのも関係あるかもしれないけれども。自分のこれまでの理解とつなげながら、言葉を新たに自分の教育用語でまとめ直してみると、あぁしっくり。一人ひとりをいかす教え方は、下の5つの要素をシステムとして相互に関連しあいながら、組み立てていくことだとわかってきました。

  • ①学習を促し支援する環境 →自分の教育を支える「教育理念」
  • ②質のよいカリキュラム →明確な学習目標と夢中にするカリキュラム「目標と単元計画」
  • ③教えることと学ぶことにいかすための評価 →テストから学びの支援へ「形成的評価」
  • ④生徒の多様性に応じた教え方→一人ひとりをいかした学びの「個に応じた学び」
  • ⑤生徒を導き、学習の決まりごとを運営する→人とのつながりをいかす「学級経営」

どうでしょう?

 

 


教育理念、目標と単元計画、形成的評価、個に応じた学び、そして学級経営。これらで語られると、一人ひとりをいかす授業実践、なんだか日本の現場でもなんとかなりそうな気がしませんか?少なくとも、私はそう思えます。


今回、私のやった作業は、ブルームのタキソノミー(教育目標分類)でいう、記憶、理解、応用、分析、評価、創造のプロセスをもしかしておっているのかもしれません。本で読んだことを、これまでの教育用語と比較検討して、自分なりに統合してみる。ほんとはもっと上等なプロセスかもしれないけど、こうやって「力尽く」で知識をつかっていくことで、自分の中に知識を作り上げていくことなのかもしれない。読むってそういうことなのかもしれない。

1章で一人ひとりをいかす教え方の全体像をふりかえりながら、2章でその評価をどうしていくのか概要が説明してあります。特に、びびびときたところのメモ(★)をメモしておこう。

・(これらの5要素は)すべて影響し合っている。カリキュラム、教え方、学級経営、一つ強くなれば全部強くなる。(Ⅺ)
・効果的な教え方とは、個々の独立した要素を束ねる一つのシステム(P.2)
・教師と生徒とのつながり。教室システムのどの要素も他の要素と繋がりやって強めあったり弱めあったり。(P.7)

★一人ひとりを教えるやり方がひとつぽん!とあるんじゃなくて、哲学、単元づくり、評価方法、一人ひとりへのフォローアップ、学級経営といったそれぞれの要素がお互いに補い合いながら、実践化されるんだとわってきました。

一人ひとりを生かす教え方とは、単に異なった生徒たちに別々の活動提供する教え方ではなくて、初級から中級、そして上級までの生徒の学習の様々な段階に応じる教え方であると、心に刻んでおくこと。ジョン・ハッティ(P.1)
一人ひとりを生かすときには生徒全員が同じ大切な理解に挑戦しながらも、多様な複雑さのレベルを提供し、一人ひとり異なる足場かけをすることこそ最も効果的。(P. 9)

★取り組んでいることがバラバラではなく、同じテーマでその度合いを変えながら、取り組んでいくことから始めてみようと、改めて思えた。

カリキュラム、教えるべき内容と、生徒に学ぶように求めなければならない内容。(P.8〜)
①学習の結果生徒が何を知り理解しできるようになればいいのかという明確な目標
②大切な学習内容を理解するものでなければならない
③学習のプロセスが生徒が夢中で取り組ませるものでなければならない

①学習目標(知識、理解、スキル)を明確に把握する
②マスターできたら次の知識スキル計画する
③できない子がいれば戻って教える。

★学習の可視化で、ハッティもいってたね。

夢中で取り組むこと(P.11〜) 
・理解することと夢中で取り組むことにはつながりがある。集中し没頭し辛抱強く頑張れる。満足し自信をもつ。反復練習や機械的記憶では無い。一人ひとりにあった難しさの課題が必須。

★これが日本の教育には弱いと繰り返し指摘されている。つまらない授業。。。エンゲージメントの考え方。フロー理論も近いね。

・悪いカリキュラムでも指導がよければいいカリキュラムに基づいた幼い指導よりも生徒にとってはよい経験をもたらす。指導法はカリキュラムをしのぐ。指導ほうこそカリキュラム。何を教えるかよりも物事をどのように教えるかということの方が大切だからである。ディラン・ウィリアムス(P.14)
・カリキュラムの内容以上に重要なのは教師がカリキュラムを実行するために使う方法です。それがあるからこそ生徒たちはカリキュラムの内容を習得しながらすすんでいけるのですから。ジョン・ハッティ

★くー!いいこと言うね。さすが『inside the black box(未邦訳:形成的評価の本)』のディラン。コンテンツ至上主義に陥らないで、教え方は両輪以上ってこと。心の帯を締め直します。

一人ひとりを見る視点がわかってきた!

レディネス(P. 16〜)
・学習を始める段階での学習目標に対する隔たり。
・この生徒には何ができるのだろうか?
・この生活成功するためには何をする必要があるのだろうか?

興味関心
・学習を動機づける大きな要素。
・生徒の才能や経験や夢といったその時点での情熱といえるものを上手く活用する。
・教師。教師自身の生活や才能や願いをいかす。

学習の履歴(P.18〜)
・一人ひとりの学習履歴を生かすことわその学びのプロセスをより効率的で効果的にするためのアプローチを提供してくれます。
・好みの学び方ないしは好きな学習えのアプローチ。
・学習内容の知識を吸収し、夢中になったり、探求したり、知識を使って様々な方法で表現したりすること用意すること。

一人ひとりを生かす指導の構成要素(P.21〜)
①内容:学ぶべきことや知識理解スキルへのアクセス
②方法:知識理解スキルをシュウトクするためのプロセス
③成果物:最終的に学んだことを示す
④感情:生徒と教師との間に存在する学習と相互作用をもたらす雰囲気
⑤学習環境:教室の中の個人的社会的物理的な関係や配置

★この5つの観点に、上のレディネスや興味関心、学習履歴を組み合わせて考える。一人ひとりをみるって、こういう要素の組み合わせ。ようやく分かってきました。

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