『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』4章 続・学習環境

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いよいよ1人ひとりをいかす学習環境へ読み進めてきました。

“自分が何者であるか、人生の意味とは何か、楽しみや痛みや勝利や志をどのように理解するのか、他者とどのように関わらなければならないのか、そして私たちはなぜここにいるのか、ということを明らかにしようと試みながら、私たちはいき、そして死ぬのです。美術、音楽、文学、数学、歴史、理科といった、私たちが学習する教科は、そうした人生における究極の問いに対して私たちが応えるための手助けをしてくれるレンズを提供してくれるのです。P65~66”

教科のもつイメージが一新されちゃいました。これまではどこか「教え手の都合で編纂されている悟りの書」のような悪役印象さえももっていました。けど、この一節を読んで、「人生を考えるレンズのようなもの」なんだと!

確かにそれもそうだ。人類の英知がつまって教えるフォーマットにまで磨かれてきた教科。そこには人々の歴史が詰まっているだけではなく、それまでの試行錯誤も埋め込まれている知識。

それを追体験すること、ほんものの学びには人を考えさせ、人生をもつきつけるものがある。そんな気概でリスペクトしないとだ。

“ちょっとだけ教科書や到達基準のことを忘れてみましょう。あなたに理科が魅力的だと思わせてくれたことを思い出して、それに戻ることです。自分が科学していると思わせてくれたのは何だったのか考えてみましょう。そしてあなたが教えている生徒が理科について学べるのは、あなたの授業しかないのだと考えてみることです。その生徒にとってみれば理科を学べるたった1つだけの授業なのです。これまでもこれからも。あの生徒が理科を好きになるように教えるために、あなたには何が必要なのでしょうか?それをちょっとだけ考えてみましょう。それから、今私があなたにやるべきだと言ったことのほんの1部だけでもやり方を変えてみてください。教える生徒が3人だけしかいないと想像してみてください。自分の3人の子供たちだけだと。そして、その年の終わりに、あなたが死ぬかもしれないとしたら。その年に理科であなたは一体何を教えますか? P65”

さらには、教材研究をしていくってなにか?ってことを考えてしまった。それは、その教え手の人間そのものをまるっと打ち出していくことなんだと。

ここまでの章では学習者に焦点があたっていたぶん、学習環境としての教師、学習内容への再確認は新鮮に読めました。

★★★

「生徒が生存と座って、それぞれが1人で黙って勉強しているような教室で、一人ひとりを生かす教育はできるのですか?」

学習の三角形としての指導

上手な指導(artful teaching)は、学習の三角形みたいなものです。それは、教師と生徒と学習内容をそれぞれの角の所においた正三角形です。そのうちのどれかがうまくいっていなかったり、他の要素とのバランスを欠いたりしてしまうと、その指導の上手さは失われてしまいます。

① 教師:教室でのリーダーシップと責任を引き受ける

多様性に戸惑うことはあたりまえ。曖昧さを楽しむ。

安定感のある教師は一晩中思い悩まなければならない大切な問いや、用よりも明日の方が良くなるためにじっくりと考えなければならないことが毎日生まれるのだという信念を持って学校を後にします。

② 生徒:自分たち1人ひとりの違いと機会をいかす

どの子も他のこと似ているところもあり、違っていることろもある。

子ども達は人間として無条件に受け入れてもらうことを望んでいる。

子ども達は自分の夢を叶える手助けを求めている。

子ども達は自分なりに物事を理解する必要がある。

子ども達は大人と一緒に取り組むとき、より効果的により一貫して物事を理解する。

子ども達は動きや楽しさや安心を求めている。

子ども達は自分の生活と学習に一定の権限を求めている。

子ども達はその権限を伸ばしたり、それを賢く使って利する手助けを求めている。

子ども達はよりひとり世界で安心できることを望んでいる。

③ 内容:それを学習者にとって切実なものにする

生徒にとって大事なものであり、個人的なものであれ、なじみのものであれ、既知の世界を関連させている。

生徒が自分自身と自分を取り巻く世界を現在よりも深く、自分の成長する背丈に見合った形で理解するのを手助けする。

その教科についての練習ではなくて、「ほんとうの」歴史や数学や美術を扱う。

生徒にとって何か実際に大事なことにすぐに使うことのできるものである

教室の中でも、外でも、生徒の力と可能性につながるように彼らのアイディアを切り開く。

★3つのバランスがあるからこそ、成立。

健全な教室環境のさまざまな特徴

・教師は生徒1人ひとりを個人として理解する

・教師は生徒を丸ごと捉えて教える

・教師がいつも自分の専門的な知見を広げようとしている

・教師は生徒と様々な概念を関連づける

・楽しい学びにしようと教師が一生懸命努力する

・教師が高い期待を設定する。

・生徒が色々な概念を自分なりに理解する手助けを教師はする

・教える営みを生徒と共有する

・教師が生徒の自立を促す

・教師が前向きな教室経営をする

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