『ようこそ、一人ひとりをいかす教室づくり』10章 一人ひとりをいかす教室作りのリーダー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いよいよ最後の10章のまとめです。10章をあらためて読み直してみると、あら、びっくり。先の一年間のふりかえりとつながってきました。

この10章、作者の1人ひとりをいかす学校改革の経験と研究成果がまとめられています。小見出しを書き出してみるだけでも魅力的だと思いませんか?著者のこれまでの学校文化に新しく1人ひとりをいかす実践を取り入れてきた、その苦労というか、発見の軌跡です。

“・信念と目標を吟味せよ

・ビジョンを確立し共有せよ

・過重な負担を避けよ

・長い道のりにそなえよ

・上手にスタートせよ

・1人ひとりをいかす方法のモデルをつくれ

・方針と手順を検討せよ

・改革の複雑さに対応するため教員研修を計画せよ

・継続的に支援せよ

・プレッシャーを与えながらサポートを提供せよ

・1人ひとりをいかすことを専門職としての責任にリンクさせよ”

このリスト、「あぁ、なるほどね」と読み流してしまわないこと。それを自分に投げかけながら読みました。もしかしたら、新しく目を見張るような気づきや取り組みなんて、もうないのかもしれません。でもこれまで、知ったつもりで、よく分かっていなかったことなんて、ざらにあります。じっくりと考え、自分とむきあって、はじめて、自分の中で知識として構築されていくことなんでしょう。さらっと読んで、知った気でいた今まで浅かったな~と、頭をたれるのです。

 

この「信念と目標を吟味せよ」をあらためてじっくり考えてみました。自分のビジョンってなんだろう?って。

これまで、ミッションステートメントや教育理念をバランスよく書いてきたけど、あんまり教師人生の指針としていかして使えるものになっていなかったなぁと思う。まだまだ、自分の理解が届いていないんだろう。

自分にとって本当に必要で大切なビジョンって?少なくていつでも使えて大事なもの。そうだなぁ、より抽象化されて、概念となったビジョンかもしれない。それは多くない方がいい。多すぎるものやバランスを取り過ぎるものは、結局、どれも大事で何者にもならないし、結局使えない。

昨年のふりかえりを読んでみて、大事にしたいこと、自分のビジョンって、じつはこれまでの教員経験での子どもたちとのエピソードと強く紐付いていると気づいた。経験が自分のビジョンをつくっていってくれるんだということだろうか。だから、かっちょよいビジョンや理念作りにあせらなくてよかったんだな。たくさんの子どもたちと出会う中で、自分は少しずつ教師になっていくんだろう。豊かな人との出会いが、自分のビジョンを磨いていってくれる、ということなんだろう。

1人ひとりの好奇心によりそってカンファランスをしているとき。あの子が先生になりたいなっていってくれたとき。あの子が「また4月あいましょう」っていってくれたこと。あの子がアリの巣に夢中になってずっとながめていたときのこと。目立たないけど、輝く所を発信してくれたあの子。子どもたち1人ひとりの心に触れる体験があればこそ、この仕事をしていていいなぁって、もっといい先生になりたいなって、おもえるんだろうね。

一方、本当に大変だったなって思える子たちとの出会いも自分を形作ってきてくれた。すぐキレてしまうあの子、いつも高いところばかりに登ってたあの子、一年中ふらふらしていたあの子、生育歴の難しさや発達の課題も重複していたあの子、勉強で苦労していたあの子。そういう子たちがクラスの中に居場所をつくったり、一緒につながりが持てるようになったりした経験たち。

あすなろ相談室の子どもたちとの関係もそうだったな。今はもういいおっさんおばちゃんたちだけど。オイラが自分でいられるような場所だった。そこではありたい自分でいられたそういう場所だった。

こういうときに、本当にこの仕事をしていて良かったと思った。

大変だったけど、悔しい思いや悩んだりもしたけど、そういうことも全てひっくるめて、この仕事の素晴らしいことだと思う。これは生産性や効率だけでは決してくくれない。

一方、慣れてくればふつふつと欲も出てくる。力をつけたい。認めてもらいたい。評価されたい。エラそーに自慢したい。ライバルに負けたくない。そういう自分もいる。

そういうことって、長いスパンで考えてみると、やっぱりビジョンというか、自分にとって案外、枝葉末節のことだったのかもしれない。健全な思いとして少しずつ昇華していけるといい。

自分のやっていることが、目の前の人を幸せにすること。こうやってブログを書いて振り返ったりしていることも、だれかの何かの糧になっているのかもしれない。そう思うと、まだ、わからないけれど、それでもいいかなって思えてきた。こう続けることも意味があることなのかも。

子ども達との関係、自分の働き方を通して、フルバリュー(Full Value:PA活動でグループが大切したいもの)で生きていきたい。なるほどね。フルバリューって意味がはっきりしていないけど、自分で意味づけしていく大事な指針だな。それにはやっぱり、1人ひとりと心がつながっていられるように努力することからなんだろうな。でできた。でできた。自分にとってのビジョンってフルバリューな人生をおくることなんだ。

フルバリューって、身近な人と幸せになること。集団を塊として眺めてしまわないように、1人ひとりとじっくりとかかわろうとすること。でもこれって、更新し続けるフルバリューなんだろな。

10章までじっくりと読むことができました。うん。読書ってやっぱりいいなぁ。自分の心を耕してくれる。これからもこういったすてきな本と出会い、読書を細々と続けていって、大事にしたしてくれる人たちとしっとりと、つながっていきたいと思う。

あ~、楽しかった。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

最近のコメント

    コメントを残す

    *