新年度がはじまって2ヶ月。
算数の授業では、毎時間、3人グループで課題に取り組む形式を導入している。
そして最近、ふと感じた。
これが、自分がずっと足りないと感じていた算数授業の最後のピースなのではないかと。
もちろん、まだまだ改良の余地はある。しかし、手応えのある授業設計ができはじめている。
きっかけは1冊の本との出会い
数年前、吉田新一郎さんから声をかけてもらった。
「ナオちゃん、この本いいですよ。数学者の時間の参考に。」
それが、Peter Liljedahl著『Building Thinking Classrooms』(邦訳未刊)
著者はカナダ・ブリティッシュコロンビア州にあるサイモンフレーザー大学の数学教育学の教授である。
ちなみに『教科書では学べない数学的思考』の著者とも親交があるらしい。
この本は非常に刺激的で、いくつかネット記事にまでしたほどである。
だが、実際の実践にはなかなか踏み切れなかった。
当時の自分の授業スタイルは、週5時間ある算数授業のうち、1時間を「数学者の時間」として設定し、残り4時間はテキストベースの一斉指導だった。
それでも「良問さがし・良問づくり」をヒントに、テキストの問題でも“数学者の時間っぽさ”を演出できるようにはなっていた。
当時は4人グループ、そして1問をホワイトボードでじっくり取り組むスタイルだった。
3人グループ×ホワイトボード×10問
今は、3人グループでホワイトボードを使っている。しかもイス無しで立ちながら。
メンバーは毎回くじ引きで決める。これがまたとても良い。
扱う問題は10問ほど。
テキストをもとに、難易度が徐々に上がるよう設計しつつ、問題のもつ数学的構造や知識を獲得できるように工夫している。
とはいえ、課題も多く、模索は続いている。
BTCと再び出会い、原点を捨ててみた
この春休み、LAFT算数数学でともに学んできた“もーりー”が教えてくれた。
「ナオトさんとつながる実践をしている先生がカナダにいますよ」
紹介してもらったのが、カナダでBTC(Building Thinking Classrooms)を実践している梅木さん。
お茶の水でしっぽりと数学談義を交わすことができた。
この出会いがきっかけとなり、これまで自分が築きあげてきたオリジナル問題群を、いったんすべて手放し、3人グループの授業をゼロからはじめる決意にふみきれた。とりあえずやってみようと。
これからの授業人生をかけて
実際にやってみると、とてもいい。
あまりにもよくて、LAFTの学習科学の文脈でも、学術的効果の高さを語ることができた。
その結果、LAFTの仲間内でも、算数授業改革の動きが少しずつ始まりつつある。
おそらく、僕の教員人生も、そう長くはないはず。
だからこそ、残りの授業はこの「3人グループ×思考する教室」の授業づくりを、研究しながら設計していくつもりである。
それくらいの手応えを、この取り組みは僕に与えてくれている。
これからしばらくの間、このブログでは「3人グループでの算数授業」について、うまくいっていること、難しさを感じていることなどを言葉にしていくつもり。
また一歩、新しい学びの学びの旅がはじまっちゃった。
ではでは。