算数・数学はまさにアートと言えます。数学は単に公式を覚え、それをそのまま適用することではありません。数学が実用的に社会に役立つからといって、それが数学の本質を表しているわけではなく、それは副次的なものに過ぎません。
画家がキャンバスに絵を描き、詩人が言葉で詩を編むように、数学者は抽象的な概念やアイデアを紡ぎ、「パターン」を創り出す存在です。問題解決に向き合っていると、最初は見えなかったものがあるとき突然、その美しさと単純さが見えてくることがあります。その問題に隠れているパターンを見つける作業は、創造的な解決が生まれる瞬間であり、これはアートそのものです。
まるで短歌を創作するように、数学者はその過程で美しい説明を生み出します。数学は「説明のアート」とも言えるでしょう。自ら質問を投げかけ、予想し、発見し、失敗し、そして最終的に自分の説明や証明をまとめるプロセスは、まさに創造的なアートの一部です。
もし、能力を高めるためだけに、あるいは公式や解法技術を身につけるためだけに算数・数学を利用しているのなら、それはこの世界が持つ創造的な自由や驚き、魅力、その喜びを教えていないことになります。
もし、算数・数学の本質的な面白さや挑戦する価値を含めた教育が行われれば、数学に対する見方が劇的に変わるはずです。「数学者の時間」には、その可能性が大いにあります。数学が持つ「アート」としての魅力を再発見し、それを体験することで、数学の新しい側面が明らかになるのです。
といったことを今朝、原稿に書いてみた。
なんのために算数・数学するのかは、成績や進学、学校世界の中でつい見失いがちになってしまうので、自分の中の原点、指針としてここにのこしておこうと思った。

長ーい道のりだなぁ。