僕は蚊に愛されている。
必ずと言っていいほど、毎日、蚊に刺される。このつらさ、誰かにわかってほしい。
虫除けぬればいいじゃないかと言われそうだが、僕はそういう身につけることはキライだ。なんせめんどくさい。時計だってしたくない。
ご多分に漏れず、今日もすこぶる蚊がよってきた。テラスのベンチに座ってお茶を飲んでいたら、半袖の腕には3匹くっついてきた。なぜなのか。
周りの人に相談したら「それはきっと足がくさいからでしょう」と断言された。くやしいので「なら嗅いでみてよ」というと「いやだ」と言う。ならば、自分で嗅いでみようとためしてみると、別にくさくない。
気になって、いろいろ調べることにした。蚊に刺されやすい人には、いくつか要因があるようだ。
汗っかき。僕はそれほど汗っかきではない。
アルコールをよく飲む。人と一緒なら飲むことは多いが、1人で飲酒の習慣はここ数年ない。
妊婦。そもそも僕は妊婦じゃないし、妊婦にはなれない。
黒い服を来ている。いや、白い服が多い。
血液型がO型だ。いやAB型だ。馬鹿にされるから秘めておきたかったが。
二酸化炭素によってくる。なら、なぜ僕の吐息にだけよってくるのか。僕以外は呼吸をしても二酸化炭素をだしていないのか。そんなことはない。
体温が高い。これは確かにあると思う。僕の平熱は37度近い。しかし、体温が高いだけなら、子どもたちだって体温が高いはずだ。一緒にしぜん広場にいくと刺されるのはいつも僕だ。納得できない。
どれも納得できない。
そこで、徹底して調べてみることにしたら、蚊を引き寄せる「誘因源」が強いらしい。そして、その誘因源は、遺伝的要因にきまっているとか。
『あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話』
たしかにじいちゃんはよく蚊にさされていた。僕の先祖も、きっとポリポリと蚊にさされて掻いていたことだろう。
いくらモテ期だろうが、蚊のあの羽音がラブソングにきこえてくることは決してない。
だれかにわかってもらいたかったショウモナイ話。
