イガせん、音楽かけて

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「僕は、アレクサではありませんから〜」と返答する。

クラスの子どもたちは毎週木曜日の昼食の時間を楽しみにしている。

コロナ感染予防から、しっとりと落ち着いてお弁当を食べようと続けてきた毎週木曜日の「音楽の日」。

子どもたちは教室の連絡用ホワイトボードに「聴きたい曲」をリクエストを書いておく。僕はそれをただYouTubeで流し、みんなで楽しみながら聴きいている。

これはなかなかおもしろい取り組みとなった。なぜなら僕は流行の曲はまったくといっていいほど興味がないからだ。

あると言えば、尾崎豊か浜田省吾しかしない。今も僕の体にはこの2人の音楽が流れている。でもだれもまだリクエストした子はいない。できれば、「卒業」ライブバージョンとかリクエストしてほしいものだが。

ここでは初めて買ったシングルCDが「壊れかけのRadio」ということはふせておきたい。誰にも触れてほしくない傷もあるものだ。

今、どんな曲がキャッチーで流行っているのか、僕にとっては貴重な情報収集の場でもある。それは学期末に作っている映像のまとめにも使える。

僕が子どもの頃と言ったらみんな同じ曲を聴いていた。でも、今の子どもたちはみんな共通の曲がないくらい、多様すぎる。

電子音の声のガチャガチャした音楽も慣れてくるとおもしろい。不思議な旋律づくりだ。アイドル好きな子どもたちからは、きゅんきゅんするような恋の歌を僕もきゅんきゅんしながら聴く。最近のアニメソングはふつうにかっこいい。マニアック路線すぎる歌もある。

みんな独自路線で、自分が好きを前面にだしてきて、僕が少しはずかしいくらい。

たまに親の世代の影響か、米米CLUBやTheアルフィー、そして北斗の拳「愛を取り戻せ」など、懐メロの流れてほっこりする。一番子どもたちにクリティカルヒットしたのが、吉幾三の「おら東京さいくだ」だ。余りにも愛しすぎて、ハロウィンは吉幾三になっている子もいた。

でも、こうやって共通音楽経験を重ねていると、応援団で応援歌を決めるときも案外、「あれねあれあれ」と共通体験をもっていると強いことがわかった。音楽は人をつないでくれる。

僕はまだ「15の夜」をリクエストできていない。卒業前に勇気を持って伝えたい。魂の歌を。100円玉で買えたぬくもりを教えてあげたい。

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