昨日のつづきから。
砂漠問題のおもしろいところには、二つ目は、頭の目隠しをとれるか問題がある。
算数・数学するときに、自分なりの思い込みをどうしてもはずせないことがある。それには、まず「自分の今の考えは思い込みなんだ」と俯瞰して自分の考え方をモニタリングできることが最初の一歩となる。
思い込みをしている限りでは、創造的な問題解決はできない。思い込みをはずすミニ・レッスンで毎回つかうのが九つの点。どれか1点から出発して、一筆書きの要領で4本の直線を引いて、9つの点をすべて通るようにできるか。ぜひやってみてください。といかに自分の思い込みの強いことか!

この砂漠問題は伝言をつたえるのが「一人だけ」でもいいことに気がつけるかがカギ。「二人」で伝言をつたえにいかなければならないと思い込んでいると、この問題はスタックして頓挫してしまう。
さらには、食料を確保するために「帰す」発送も重ねて必要になる。このあたりの頭の柔軟性が問われている。
子どもの感想に「『うめる』『渡す』『帰る』を使って解けました。自分がつまずいているところにも気が付きました」とあったが、ひらめくとそういうことであって、子どもはとても柔軟だ。なんせ、問題解法のパターンを知らないから、今もっている知識で格闘している。
ただ、誤解してほしくないのは、この良問をといている数学者の時間は、なにかエンターテイメントしている時間とは大きくことなっていること。そして、問題がとける/とけないとか、考えることそれ自体に夢中になっていることのみに、価値があるのではない。
問題解決のサイクル「問題→計画→解決→ふりかえり→共有」が回っているかであってこその数学者の時間なのである。ここに「ためす」と「たしかめる」の数学的思考が使われいて、この思考法を自覚して使えるようになっていってほしいと願っている。そしてそれはとても便利な道具だし。
日々の学習内容をみにつけるといったミクロ概念の獲得ではなく、考え方や発想の方法といったもっと学習の転移が可能なマクロ概念の数学的思考を身につける時間でもあると考えている。
この時間中、僕はといえば、子どもたちの話をよく聞いている。みんなそれぞれしゃべりたいことを夢中で話している。子どもたちの頭の中でどんなことが考え進んでいるのかのぞきにいく。そんなおもしろく、ゆったりとした時間。
次回は、この問題がもっている特徴をもとに、自分でも問題づくりをして、さらには解き合う時間へと進んでいく。
どんな作品がうまれるのか、楽しみで仕方ないなぁ。